『チェンソーマン(14)』感想(ネタバレあり)

チェンソーマン14巻を読んだ感想。

1~13巻は一通り読んだだけ、アニメ版は見たことない、ジャンプ+の最新話は未読です。

全力でネタバレあり。

とりあえずアサの傲慢さはけっこう好き。


アサとデンジの水族館デート。

「男なんてちょっと楽しませればすぐ惚れる」

「私そこそこ可愛いからちょっと遊べばすぐ惚れるっしょ」

からの、

「きちんと計画立ててきたから計画外のことはしない」

「ヒトデはあと30分見る予定」

「私の予定通りにしてれば楽しいから」

「私なにも間違ってないもん!」

アサのこの、世界は自分を中心に回っていると信じて疑わない謎の自信。高校生らしくてとてもよい。

そして水族館に閉じ込められて食糧は魚ならあるとなったときも、魚食べれない、魚は死体って感じが強くて気持ち悪い、と配慮なく言う空気の読めなさ。

かつて職場でコーヒーフレッシュを使っている社長に対して「それってサラダ油ですよね」と言わんでいいことを口走った経験がある私は、アサちゃんを見ていると痛々しさと共感が同居して好感しかない。

(幸いその職場はアットホームでざっくばらんな環境だったので何事もなかった)


アサとデンジは、デート中はつまらなそうだったけど、閉じ込められたことをきっかけにお互いの印象を変えることになる。

デンジがお金を集めている理由は、同居人を大学に行かせるため。自分はクソみたいな人生だったから、そいつには普通に生きてほしいとデンジから聞いたアサは、想定外のデンジの一面を知る。

デンジはデンジでアサの意外な一面を知る。

ヒトデだけじゃ腹は膨らまず、魚を食べる決意をするアサ。オエーっと涙目になりながら魚を食べるアサを面白いと言うデンジ。

そこで「私面白いでしょ!」と謎の自信に満ちあふれるアサ。

でも、デンジは引くことなく昔の友達に似てると肯定的に受け止める。


その後、水族館から出られて、デンジは見事なまでにアサが悪魔を倒す肝心な部分を見ていなかったわけだけど、まあそれはいいとして。

水族館でアサの言った「デンジのお願いなんでも聞く」。

デンジは何を要求するんだろう。どうせエロいことだろ? と思いきや。

デンジの願いはアサともう一度デートすることだった。

マキマさんに拾われたころのデンジとは全然違って、原始的な欲求じゃなくて社会的な要求ができるらしい。

マズローの欲求5段階説みたいな。

衣食住が確保されて、わりと安全に生活できているデンジの欲求は、他者との関わりで満たされるものを求める段階になっているのかなと思う。

あと、デンジに関心なく延々と魚の講義をするアサではなく、吐きそうになりながら半泣きで魚を手で食べる飾らないアサをデンジが見たのは大きい。

自分のことを好きかもしれない面白いヤツと、もうちょっと一緒に過ごしてみたいということだし。


で、ヨルいわく、アサはデンジに恋をしたそうだけど、デンジは武器にならず。

アサはそれをデンジが自分のこと好きじゃないからと解釈し、「別に私も好きじゃないからいいけど」と強がり、「あんなに色々あったのに私のこと好きじゃないの?」となぜかデンジにムカつきだす。

きっと自分が相手のことを好きなのに、相手が自分のこと好きじゃないっていうのが許せないんだろうな。

好意を持たれるのはウェルカムだけど、自分の好意には見返りがほしい的な。

14巻はアサの傲慢さが発揮されていて楽しい。


翌日(?)、アサはデンジの自称「超最強のデートプラン」をことごとく否定。ダメなら別にデートしなくていいけど、とまで言う。

デンジのお願いなんでも聞くと言っておいてこの強気な態度よ。

そしてデンジの家へ。

アサはデンジのことが嫌いだと発言し、デンジ驚く。

そりゃあデート誘ってきたのに嫌いって? ってなるよね。

濡れた犬の匂いがするって以前言われた、それってクサいから? アサのことちょっと好きになってたのにと悶々とするデンジ(ナユタいわく濡れた犬の匂いは良い匂いらしいけど)。

ヨルがデンジにキスしたところでナユタ登場。

デンジは私のものだから、とナユタはアサを犬にする。

ナユタは笑い方とかスプーンの持ち方とかに品がなく、この時点ではデンジが言うほど頭がいいようには見えない。しかしとても強そうなのは分かった。

アサを元に戻す条件として、ナユタはデンジにもうアサと仲良くしないことを要求。

記憶をいじられ、デンジにデートをすっぽかされたことになったアサは、吉田からデンジに関わるなと警告される。

このシーンのアサの勘違いよ。価値観に同意してくれる=私のこと好きに違いないって。


デンジは、自分がチェンソーマンだとバレてモテてもナユタに邪魔される、一生彼女できないのかな、と嘆く。

そこでナユタ、チェンソーマンになってたくさんの人が好きになってくれるほうが彼女よりたくさんの愛をもらえるよ? とデンジを説得。

デンジ、それに納得。納得しちゃうんだ?

ちょっと考えてみる、と時間を置いたところは偉いなと思ったけど。

愛って数えられるものなのか?

デンジはたくさんの人にチェンソーマンとしての自分を好きになってもらえればいいのか?

デンジをデンジとして好きになってくれる人じゃなくていいのか?

デンジの承認欲求はチェンソーマンで本当に満たされるのか?

アイデンティティーと承認欲求がこの先絡んでくるのか気になる。

あと、キガちゃんって何がしたいのとか、ノストラダムスの大予言ってなんなのとか、デンジ脊髄剣が今後本当に出てくるのとかはとても気になる。

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