【THE LAST OF US】大事な人を置いていけないエリー。シーズン1第7話感想
サバイバルアクションゲーム『The Last of Us(ラストオブアス)』の実写ドラマ『THE LAST OF US』の7話を見た感想。
今回はゲーム1作目のDLC「Left Behind -残されたもの-」が組み込まれたエピソードでした。
以下、ネタバレあり。
FEDRA訓練生時代のエリー
回想の序盤では、軍の学校にいたころのエリーが描かれる。
クワン大尉いわく、エリーは問題児だが賢くリーダーになる素質はあるとのこと。
それに、自分より体格のいい女子に15針縫うケガを負わせた一方で、エリーは顔のあざだけで済んでいるので、ケンカはもともと強かったのが推測できる。
強さと賢さがあったからこそ、エリーはショッピングモールで感染者を倒せたのだろうし、ジョエルと出会ったあとも致命傷を負うことなく生き延びてこられたのだろうと思う。
エリーがこのころ荒れていたのは、3週間前から同室の親友ライリーが行方不明になっていたから。
ライリーはエリーの大事な人。
大事な人に置いていかれるとエリーは不安になる、というのは前回と共通している。
ただ、ジョエルのときは一晩で解決したので分からなかったけれど、ライリーは3週間エリーから離れており、その間ずっとエリーは不安定な状態だったということになる。
エリーが独りぼっちになったときの影響の大きさがうかがえる。
ところで、エリーの部屋にはエリーの好きなものがたくさん置かれていた。
恐竜、ダジャレ本、サベッジ・スターライトの漫画、宇宙、モータルコンバット2のポスターなど。
モータルコンバット2は、3話でエリーがアーケードゲーム機を発見したとき大興奮していたもの。
あのとき話していた「ミレーナは獣のような口で敵を飲み込んで骨を吐き出す」は、エリーがライリーとモータルコンバット2で対戦したときに見た映像だったことがのちに分かる。
また、カセットの音楽は7話で使われたほか、a-haのTake on Meはゲーム2作目でエリーが歌うシーンがある。
エリーの大事な人
ライリーに対するエリーの好意は、いろいろなところに現れている。
ライリーのことをじっと見ていたり、身なりを気にしていたり。
そして、ライリーがボストンを離れることに、エリーは大きなショックを受ける。
ライリーがFEDRAと敵対するファイアフライに所属したことよりも、ライリーが遠くに行ってしまうことにエリーは動揺したのだ。
楽しい夜を過ごして、またショッピングモールで会えるという期待から一転し、もう二度と会えなくなるという事実。ライリーが自分を置いて去っていくという衝撃と悲しみと怒り。
しかし、感情のままにライリーに別れを告げてショッピングモールを出ようとしたエリーは、ライリーのところに戻る。
冒頭でエリーはジョエルに「トミーのところへ行け」と言われ、一度はそうしかけたもののそうしなかった。
大事な人を自分から置いていくことはできないのが、エリーの性質なのかなと思った。
残されたものたち
ジョエルを残して去ろうとしたエリーは、ライリーのことを思い出してジョエルを助けようとする。
大切な人を二度と目の前で失いたくない、そんなエリーの強い思いを感じる。
ジョエルとエリーの共通点は、大事な人の死を悼んでいること。
エリーはライリーを失って日が浅く、ジョエルは20年たった今もサラの喪失から立ち直れずにいる。
残されたものどうしであるふたりの関係は、互いに相手を必要としたときに完成するのだと思う。
ライリーがファイアフライに必要とされたことで居場所を得られたように、この作品では誰かに必要とされることが重要な要素になっている。
すでにエリーはジョエルが必要だと明言したので、あとはジョエルがエリーを必要としてることを認めるだけだ。
全体的な感想
7話は、エリーの運命が変わった日を回想の形で描く回。
終末世界ということを忘れる楽しい時間と、その後に訪れる死への絶望の明暗がくっきりと分かれ見ごたえがあった。
しかし何気に印象に残っているのは、FEDRAの訓練施設でクワン大尉が軍の存在意義について語ったこと。
軍が街の秩序を守っている。軍がいなくなれば市民は飢えて殺し合う。
たしかに軍を追い払ったカンザスシティでは、キャスリンの半独裁になり秩序が保たれていたとは言いがたい。
一方で、軍がなくても人々が支え合い平等に生きるジャクソンのような社会が存在する。
結局は軍も、その社会で必要とされるかどうかの問題なのだろう。
それにしても、ショッピングモールに感染者が1体しかいないのはDLC版との大きな違いなのだけど、本当にあの広いショッピングモールにあの1体しかいないの? とは思った。
今回のエピソードはエリーとライリーの関係に焦点を当てたものなので、大量の感染者によるアクション要素が不要といえばそうだけど。
それか「1体いたら100体いるに違いない」という私の思い込みか期待なのかもしれない。
続き:【THE LAST OF US】なぜ互いを必要とするのか。シーズン1第8話感想