【THE LAST OF US】それぞれの不安。シーズン1第6話感想
サバイバルアクションゲーム『The Last of Us(ラストオブアス)』の実写ドラマ『THE LAST OF US』の6話を見た感想。
ドラマとゲーム全般のネタバレあり。
ジャクソンへ
ジョエルはジャクソンでトミーと再会。
このジャクソンは、ゲーム2作目の町並みがそっくりそのまま再現されたような光景で圧巻だった。
食事中のエリーを遠目で見て逃げていった女の子は、ディーナにとてもよく似ている。
ジャクソンが鮮烈に感じるのは、再現度だけではなく、今までと違って人々が対等に・ふつうに暮らしているコミュニティだからという理由もある。
軍やレジスタンスの一方的な支配はなく、感染者もいない。
学校、礼拝所、留置所、映画館といった施設があり、車いすの人や子供でも安心して暮らせる、住人みんなで支え合う社会。
こんな町がこの世界に存在していたのか、という驚きをジョエルやエリーと共有した感じがする。
母親的なマリア
トミーの妻で、ゲーム版と違って妊娠中だというマリア。
ジョエルとエリーはマリアをかなり警戒しているように見えるし、実際私もゲーム1作目をプレイしたときはマリアのことがうさんくさくてしかたなかったのを思い出した。
でも、マリアはジョエルを危険視しているだけであって、エリーのことは気遣っているのだよね。
寒さに耐えられる厚い上着を渡したり、髪を切ってあげたり、月経カップを用意したり。
ジョエルでは意識にのぼらなさそうな配慮で、マリアの母親的な役割が強くなったように見える。
月経カップが出てきたのはおもしろいところで、物資に限りがある環境では洗って繰り返し使える生理用品が最適なのだろう。
そもそも日用品の製造工場が止まっている世界だと考えると、以前エリーがタンポンを見つけたのは奇跡に近いような。
話はマリアに戻り。
今回のマリアの重要な役割は、エリーにサラのことを教えたこと。
そして、
「あなたを裏切るのはあなたの信じた人だけ」
というセリフであります。
ゲームの展開で言うと、あの兄弟の核心を突いているというかなんというか。
ジョエルの不安
ジョエルがトミーと再会したのも束の間、ふたりは衝突。
遠路はるばるトミーを助けに来たのに、トミーはジャクソンですっかり新たな生活を始めている。
生きるためには誰かを犠牲にするしかないと考えていたジョエルに対し、トミーは仲間と支え合う生き方を望んでいる。
そして、ジョエルが失った父親の立場をトミーは得ようとしている。
(私の正直な感想「え、トミー、お父さんになるの? いい父親になれるといいね…」)
ジョエルが冷たい反応をするのは、サラを亡くしてからジョエルの時間が止まっているからだとトミーは考える。
その夜、ジョエルはトミーに自分の不安を明かす。
弱くなった自分ではエリーを失うかもしれないという恐怖。
エリーに免疫があること、5年前だったら倒せた敵も倒せなくなっていること、自分の衰えのせいでエリーに人を撃たせたことなどを話す。
テスを失ったのも自分が弱いからで、同じことがエリーでも起きるのではないかと震え、エリーをコロラド大学まで届けることをトミーに頼む。
たぶん、町でサラに似た雰囲気の女性を見かけたことも影響しているのだろう。
サラが生きていたらあのくらいの、小さな子供がいるくらいの年齢のはず…。
しかしエリーはそんなこと知らない。
エリーの不安
「独りぼっちになるのが怖い」というのが、エリーが前回サムに打ち明けた秘密だった。
第5話から3か月が経過し、その間エリーとジョエルの親交はさらに深まったと考えられる。
ジョエルがトミーと去っていくときエリーは心細そうな顔をしたし、映画館でのエリーは落ち着かない様子でキョロキョロとあたりを見回していた。
エリーにとってジョエルはなくてはならない大事な人になっており、そんなジョエルがトミーにエリーを任せたことでエリーは大変なショックを受け、ジョエルと一緒じゃないと不安になるとエリーはジョエルに訴える。正直に伝えてえらい。
エリーはジョエルが昔より弱くなったとかそんなことはどうでもいいし、なんなら弱くなったぶんは自分がサポートするくらいの意気で、そこがサラとエリーの決定的な違い。
ジョエルもそのあたりは察しているはずで、だから自分の不安よりエリーの安心を優先することにしたのだろう。
エリーを届けるだけならトミーのほうが確実なのは間違いないけど、仮にトミーにエリーを任せたとしてもジョエルはエリーが無事に目的地に着いたか心配で心配で結局毎晩うなされると思う。
ジャクソンを出発するシーンはとてもよかった。
ジャクソンに着く前は、エリーもジョエルも目的を果たしたあとどうするかはっきり答えられない様子だったけれど、今はふたりでジャクソンに戻る未来が描かれたと想像。
そして若くなくても強くなくても、自分でエリーを守ろうとしているジョエルを見て、トミーは止まっていたと思っていたジョエルの時間が動いていたこと悟ったんだろうなと。
コロラド大学はあっさりと
ジャクソンからコロラド大学への道中、ジョエルはエリーに狩りやアメフトについて教えていて、親子同然だった。
コロラド大学では、医師を含めファイアフライたちがソルトレイクシティに移動したらしいという手掛かりを得る。
地図のメモに手書きでST. MARY’Sと書かれていた。
ジョエルが大学にやってきた集団に刺されて瀕死になるのはゲームと同じ。
ジョエルは今やテスの頼みだからではなく、自分の意志でエリーと一緒にいるのに、危惧したとおりエリーを守れない状況になっているのが皮肉で粋な展開。
続き:【THE LAST OF US】大事な人を置いていけないエリー。シーズン1第7話感想