【THE LAST OF US】ゲーム版はうろ覚えのシーズン1第1~3話感想
サバイバルアクションゲーム『The Last of Us(ラストオブアス)』のドラマ版1~3話を見た感想。
ゲームの要所はしっかり再現しつつ、よりドラマ向きな演出や構成になっているなという印象です。
ドラマの作りはとてもよく、ゲームを知っていても知らなくても楽しめる作品になっていると思います。
少しホラーな一面もあるものの、こちらの心臓が飛び出る系の怖さはないのでホラーが苦手でも大丈夫なはず。
配信はU-NEXTで、現在は字幕版のみ。日本語吹替版はゲーム版と同じ声優さんで2023年2月13日から毎週1話ずつ配信されるそうです。
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ゲーム版と比べると(ネタバレなし)
ゲーム版と比べての簡単な感想、と言いつつ私はゲーム版の細かなストーリーは少々うろ覚えであります。
(1000年に一度の名作だと聞いて『The Last of Us Part II』の発売前に急いでプレイしたため)
それでもところどころ「あ、これゲームとまったく同じ」と分かる部分がけっこうあり、再現度の高さに圧倒された。
live action x game
— robert bittencourt ? (@robertbitten_) January 23, 2023
masterpiece#TheLastOfUsHBO #TLOU pic.twitter.com/Qes0TbT8YS
荒廃した建物、クリッカーの音、建物内に広がった菌糸。
感染者に気づかれないよう、かがんで物音を立てずに物陰を移動するところなども。
そしてベラ・ラムジー演じるエリーのしゃべり方がゲーム版そっくり。
Do I look like I’m infected? #TheLastOfUs pic.twitter.com/15QYIxeb5I
— The Last of Us (@TheLastofUsHBO) January 26, 2023
『ゲーム・オブ・スローンズ』のリアナ・モーモントとはアクセントが全然違ってとても新鮮。
エリーの人物像はドラマ版でもまったく損なわれておらず、最初の3話だけでエリーの一人芝居、アーケードゲームへの思い入れ、高いところ好き、乗り物や宇宙への関心などが盛り込まれている。
一方でゲーム版と異なる点は、感染源や感染拡大についての深掘りがあったり、サブキャラクターに重厚な人間ドラマが用意されていたりといったこと。
以下、ネタバレあります。
1話と2話の感想
1話は全体的にゲームの忠実な再現という感じで、日常が突然壊れていく恐怖とパニックが迫力のある映像とともに描かれている。
なぜこんなことになったのか? というと、本来は人間に寄生するはずのない冬虫夏草が突然変異して人間に寄生し、そうして乗っ取られた人間が別の人間を噛んで感染が広がるのだと説明される。
2話冒頭に登場した、2003年のインドネシアの菌類学者は、この菌にはワクチンも治療薬もないと言い切っていた。
There is no medicine. There is no vaccine. #TheLastOfUs pic.twitter.com/jJmxMEpFik
— The Last of Us (@TheLastofUsHBO) January 25, 2023
状況も先行きも絶望的であることを表すと同時に、2023年になってようやく治療薬の鍵になるかもしれないエリーが現れたことの重要性を暗に示しているように見える。
2話冒頭といえば、菌類学者が寄生された被害者を解剖するシーン。
死体が今にも動き出すのではないかと私は半目で震えながら見ていて、被害者の口からさきいかのようなツルが出てきたとき超絶びっくりした。誰も襲われていないのになぜこんなにも恐怖を感じるのか。
あのツルはドラマオリジナル要素で、そこいらのゾンビ作品と差別化するために取り入れられたものだそう。
2話終盤でテスが感染者の群れを食い止めるシーンでも、あのツルはテスの死に際を不気味かつ映像映えさせ、強烈な存在感を放っていた。
そして「救える人を救って」というテスの言葉。テスの最初で最後のジョエルへのお願い。
テスの言う「救える人」は、目の前のエリーのことなのか、それとも自分のように感染した人・これから感染するかもしれない人のことなのか。
ところで、2話で感染者と戦うというゲームでおなじみの要素が登場したけれど、ゲームと決定的に違うのはドラマ版のジョエルは戦いに負けたら死ぬ生身の人間だということ。
ゲームだったら失敗してもすぐに戦闘直前からやり直せる。
しかしドラマではそうはいかない。
動揺してはいけない、弾は外せない、そういったジョエルの緊迫感がこちらにもしっかり伝わってくるのはドラマならではでよいなと思った。
3話の感想
ゲーム版だとジョエルとエリーはビルに会えて、フランクは感染して死んでいて、という感じだったような。
ドラマではビルとフランクの出会いと暮らし、そして終わり方がじっくり2003~2023年ぶん丁寧に描かれる。
Meet Bill and Frank.
— The Last of Us (@TheLastofUsHBO) January 30, 2023
A new episode of #TheLastOfUs starts now on @HBOMax. pic.twitter.com/0MbXBNuccL
この第3話、ラストオブアスとは別のタイトルでも十分な評価を得られそうな、秀逸な終末世界のラブストーリーになっている。
ひとりで生きてきた男が愛する人に出会い孤独に気づき愛を知り幸せを見つけ、愛する人と一緒に最期を迎える。
「これ本当にThe Last of Us?」と思わせながら、The Last of Us(私たちの終わり)以外の何ものでもないという巧妙さ。
途中、ビルたちがジョエルとテスと知り合った経緯にも触れられている。
さりげなく示唆されたのは、ジョエルとテスの付き合いが13年以上のものだということ。
つまりジョエルにとって、サラに続いてテスを失ったことは相当ショックな出来事のはず。
だけどジョエルはそれを顔に出さないし、話題に出すことも拒絶する。
エリーは「あなたが選んだことだから」とジョエルに言いつつ複雑な気持ちでいるはずで、テスに関してお互いの胸中を打ち明けるときが2人の関係の転機になるのかもしれない。
そしてビルの手紙。
この世界が嫌いだったが、守るべき価値のある人間に出会い、その人を守るため何でもするのだと書かれていた。
あれはビルのことであると同時に、今後のジョエルのことでもあると考えると本当にこのドラマ版はドラマチックだなと思う。
続き:【THE LAST OF US】ドラマ史上最高傑作の予感。シーズン1第4~5話感想