【ハウス・オブ・ザ・ドラゴン】第4話「狭い海(ナロー・シー)の王」感想。王女は自由を知る
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の第4話「狭い海(ナロー・シー)の王」を見た感想です。
ネタバレあります。
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第4話のざっくりあらすじ
第4話は、ターガリエンの不埒な習慣とやらが見られる回でした。
- デイモン・ザ・ジェットコースター。4話冒頭、玉座の間で戦果を称えられヴィセーリスと肩を組んでいたデイモンは、4話終盤、レイニラの純潔を奪った疑いで玉座の間で王に蹴られ王都から追い出される(3エピソードぶり2度目)。
- デイモンの手引きで自由を味わったレイニラは、その代償にレーナー・ヴェラリオンと政略結婚することになる。
- ヴィセーリスは、オットーの今までの行動が孫を王にするための計略だったと疑い、オットーを王の手から除名する。
家族の物語
ドラマ配信前に読んだ製作者インタビューに、「ハウス・オブ・ザ・ドラゴンは家族の物語です」と書いてあったのを覚えている。
想像していた「家族の物語」とは違ったけど、あの倫理観がターガリエン家で、第4話はターガリエン家かどういうものなのかを知る記録的エピソードだと思う。
- 叔父さんが姪っ子を夜中に連れ回し、人目に付く娼館でいちゃつく
- 叔父さんに触発された王女は帰宅後すぐに側近をベッドに誘う
- 叔父さんは姪っ子を俺と結婚させろと兄貴に迫る
- 問題ばかりの弟にブチ切れる兄貴は、娘と同じ年頃の妻を夜中に呼び出して抱いている
- 娘の結婚は父親の結婚の尻ぬぐい
こうして書き出してみるとすごい家族だな。なんともいびつ。
思えば今回はレイニラの結婚相手探しからいびつだった。
求婚者は父親よりも年上だったり、年端もいかぬ少年だったり、明らかに不釣り合いな要素が多かった。
そこに叔父と姪のまぐわい、娼館での雑多なまぐわい、親子ほど歳の離れた夫婦のまぐわいが畳みかける。
そんな中で、唯一釣り合いのとれた組み合わせだったのがレイニラとサー・クリストン。しかし立場上、彼らの性的関係は誰にも知られてはいけないもの。
いびつな関係は公になっているのに、「ふつう」のカップルは秘密の関係というのが矛盾していて興味深い。
久しぶりにヴィセーリスとデイモンとレイニラがそろい、家族に焦点を当てるエピソードがこれだけゆがんでいるのは、ターガリエン家がゆがみの上に成り立っているからなんだろうか。
最初に第4話を見たときは「私はいったい何を見させられてるんだ?」と思ったけど、こんな家族の物語を見られるのはエンタメならでは。おもしろすぎるでしょう。
自由と嘘
前回はレイニラが肩身狭そうで孤立していて気の毒だったのに、あら不思議、今回はアリセントが気の毒に。
レイニラは結婚したくない、子を持ちたくないと話す。
たくさんの男性に求婚されてはいるものの、あくまでレイニラの家名と血筋が目的。
「ただ城に閉じ込められて世継ぎを産まされる人生」は嫌だというレイニラの考えは、母親を見てきて根付いたもの。
でもアリセントはまさにそんな人生を送っている。
たとえ家名と血筋が目当ての求婚だとしても、たくさんの男性に求愛されて、かつ相手を選ぶ権利があるというのは、アリセントにはたまらなくうらやましいものなのだろう。
泣く我が子をあやすアリセントの顔。夜中に叩き起こされてヴィセーリスに抱かれるアリセントの顔。幸せの欠片もない。
ヴィセーリスと目が合ったときだけ作り笑いをして愛しているふりをする。
あれがアリセントの日常なのだろう。
一方レイニラは、デイモンに連れ出され街を走り回り、自由の味を知る。
性の開放を体験し、家のために守るべき純潔を捨てる。
あれだけ結婚したくないと言っていたレイニラが、レーナーとの政略結婚をあっさり承諾したのは、「結婚は政治的な協定、結婚したら好きにすればいい」というデイモンの教育のたまものかもしれない。
それにしても。
レイニラとデイモンがどこまでいたしたのかはあいまいだったけど、あれは結局何もなかったでいいのかな(何もなかったは言いすぎ)。
だとしたらいろいろ不思議でならない。
レイニラは母上の思い出に誓ってまでアリセントに嘘をつく必要があったのだろうかと。
「何もされていない」だけなら嘘じゃないのに、触られてもいないなんて言う必要ある?
むしろ、そもそも純潔じゃないのだからデイモンに純潔を奪われた方向で嘘をついたほうが都合がよかったのでは…?
レイニラとアリセントは少し距離が縮まったように見えたけど、きっとレイニラの嘘でヒビが入るのだろうなあ。
王の手
オットー、ついに王に野心がバレて王の手を除名される。
個人的には、「アリセントは王を愛しています」の一言でこいつは嘘つきだとハッキリしてスッキリした。
「オットーは孫を王にするため私を監視して貶めた」というレイニラの主張によって、ヴィセーリスはオットーを除名したわけだけど、レイニラの交渉は見事だったなと思う。
結婚を受け入れる代わりに、後継者問題の脅威になる人物を排除したということになるので。
でも、オットーを王の手から除名することでレイニラの立場が安定するのかというと、どうなんだろう。
私欲はさておき、オットーは優秀な王の手で、そのオットーに代わる王の手はいるのか?
オットー以外にも敵はいるのではないか?
何より、オットーがこのまま引き下がるのか?
白蛆の使いとかいう少年の動きを見た感じだと、オットーはどうもミサリアと協力関係にあるようだし、ミサリアにも野心がある。
彼らは何らかの形で今後も後継者問題に関わってきそうな予感。
ヴィセーリスは小指と薬指に続いて「手」も失って、このことがヴィセーリスの衰退に拍車をかけそうな気がする。
続き:第5話「われらは道を照らす」感想。王の楯がピュアすぎた
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