【The Sinner -隠された理由-】シーズン4感想。罪の意識に苦しんだ人々を描く
「The Sinner -隠された理由-」シーズン4をNetflixで鑑賞したので感想をまとめました(途中からネタバレあり)。
Thank you for joining us on this ride through four incredible seasons. As Harry’s journey on #TheSinner comes to a close, we’re thrilled to have investigated along with you. pic.twitter.com/C1MZyFyV8A
— The Sinner (@TheSinnerUSA) December 8, 2021
シーズン4が最終シーズンだそうです。
シーズン4の概要
刑事を引退したハリーはソニヤと共にハノーバー島を訪れ、マルドゥーン家の女性漁師パーシーと出会う。その夜、ハリーはパーシーが崖から転落するのを目撃。ハリーは地元の警察に協力し、パーシーの行方と事件の謎を追っていく。
という導入から始まるシーズン4。
見どころは今までのシーズン同様、ハリーの執念深い捜査と対話によって、ウソや沈黙で謎だらけだった事件の全貌が徐々に明かされていくところです。
また、一見普通に見える人々が思いも寄らぬ秘密を抱えているところも相変わらず圧巻。
話が進むにつれて真実という名の闇が出るわ出るわ。
誰もが顔見知りの狭いコミュニティなのに、よくもまあこんな黒い秘密を抱えているなあと驚くばかり。
事件の関係者への印象は「この人あやしい」から「やっぱりいい人かも」に変わり「いややっぱりあやしい」に戻るの繰り返しで、見事に振り回されました。
Take a look at Percy's connections...do you think someone here is to blame for her tragic death? ?? Get one step closer to finding out on a new episode of #TheSinner, TOMORROW at 10/9c on @USA_Network. pic.twitter.com/NVqaIscWlO
— The Sinner (@TheSinnerUSA) November 16, 2021
「The Sinner」を見たことがなくても、事件発生から解決までの濃厚な流れを楽しむだけならシーズン4から見始めても問題ありません。
ただ、シーズン4のハリーのメンタルはシーズン3の影響を大きく受けた状態なので、シーズン3だけでも見ていると状況がつかみやすいと思います。
闇深さやショッキングさはシーズン1や2のほうが強いです。シーズン4はそのあたりが控えめに感じました。
以下、ネタバレありの感想。
家族に縛られたパーシーの苦しみ
シーズン4の注目点のひとつは、パーシーが何に苦しんでいたのかが徐々に見えてくるところ。
パーシーの死は自殺だということが最終的に明らかになったが、その背景には自身の犯した罪と、それによって誘発された家族の罪があり、パーシーはそれらを見て見ぬふりして生き続けることに限界を感じたのだった。
パーシーはラム家の長男ボーを死なせたことに加え、ショーンとコリンが人身売買に関わっているという事実に直面する。
The Muldoon Family Fish Company has had a long reign on Hanover Island... but their world will soon turn upside down. #TheSinner returns Wednesday at 10/9c on @USA_Network. pic.twitter.com/MTF3w7ux1B
— The Sinner (@TheSinnerUSA) October 8, 2021
2年前、パーシーはボーの件で自首することを望んだが、家族はそれを許さなかった。
そして事件当日の夜、ショーンとコリンはパーシーが人身売買の告発をすることを阻止した。
島の人身売買については、パーシーがボーの件の贖罪で動いていたのだろうと思う。
しかしマルドゥーン家を守りたい家族は、パーシーの希望を受け入れることができない。
パーシーは自首も贖罪も許されず、苦しみから解放されたいという願いも叶わず、パーシーもまたマルドゥーン家を守ることを強要された。
自分や家族の罪に対して沈黙を続けることはパーシーを苦しめる。
自身はボーの幻覚につきまとわれ、罪のない人の人生はこの先も失われていく。
自殺とは「自分との戦いに耐えられなくなること」だとソニヤは話していた。
そしてパーシーは「家族からは逃げられない」とハリーに言っていた。
家族から逃げられないパーシーは、自分との戦いに絶えられなくなって死を選んだ。
マルドゥーン家の者はみな、「マルドゥーン家を守る」ことにとらわれていたように思う。
代々受け継がれてきた家業を守ること、それがパーシーの幸せにつながると、特にメグとコリンは考えていた。
もし彼らがパーシー個人の悩みに向き合い、パーシーの希望を受け入れていたら、取り返しのつかないことの連鎖は止まり、パーシーは崖から飛び降りる以外の道を歩めたのかもしれない。
パーシーとハリーの共通点
ハリーがパーシーと言葉を直接交わしたのはほんの数分。
事件当初はパーシーのことをほとんど知らないハリーだったが、捜査を進めるにつれパーシーには自分と大きな共通点があることを知る。
ハリーとパーシーの最大の共通点、それは人を撃って死に追いやったこと。
ふたりとも周りからは「あなたが悪いのではない」と言われているものの、罪の意識は消えることなく、自分だけ罪のないふりをして生きることに苦しんでいた。
人を殺した罪悪感がどのようなものなのか、私には想像がつかない。本人たちにしか理解できないものだろう。
ハリーはパーシーの死の真相をつきとめ、島で行われていた人身売買を阻止することで、パーシーの望んだ正義を果たす。
そして8話の最後で、ハリーから自殺願望が消えたということが示唆される。
ハリーは捜査を通じて自分と同じ罪を背負ったパーシーの苦しみを追体験し、パーシーの代わりに人身売買を止めた。
そのことがハリーにとって何らかの贖罪になり、自身の救済につながったのかもしれない。
ウロボロスは「死と再生」などの象徴らしい(ウィキペディア情報)。
死と再生とは、罪の意識に苦しんだパーシーとハリーのたどった道を指しているように思える。
おわりに
「The Sinner」が終わってしまうのは残念ですが、生きることに少し前向きになったハリーが、今度こそソニヤと心安まる引退生活を送れるといいなと思います。
それにしても、ハリーが見た夜の水泳は結局なんだったのだろう。
関連記事: