【ザ・ボーイズ】シーズン2感想。クイーン・メイヴの活躍を振り返る

Amazonオリジナルドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン2の感想です。

衝撃的な出来事が起きすぎて感想はわんさかありますが、印象に残ったのは、つらいことがありつつも総合的にはいいとこ取りな活躍を見せたクイーン・メイヴでした。

※シーズン2最終話までのネタバレあり


弱みを抱えて不利な状況に

クイーン・メイヴは富や名声目当てのディープやAトレインと違って、人を助けたいという正義感でスーパーヒーローをやっているセブンのメンバー。

しかしメイヴの心はヴォートの陰湿さやホームランダーの凶悪さのせいですり減り、もろもろあきらめの境地に達して自分から本音を話すことも事態を変える行動を起こすこともなかった。

それでもシーズン1では、スターライトを殺そうとするホームランダーに意見を通す姿も見られた。

そんなメイヴはシーズン2でうまく立ち回れなくなる。

かつての恋人エレナと再び付き合うようになったものの、ホームランダーにエレナのことを知られたからだ。

自分の望まぬ形でエレナとの関係を暴露され、ヴォートが企業のイメージアップのためにメイヴのセクシュアリティを利用し始めても、メイヴはホームランダーがエレナに危害を加えることを恐れて何も抗議できない。

シーズン1でメイヴは、ヒューイと親密な関係にあったスターライトに「大切な人は弱みになる」と話していた。

そもそもメイヴがエレナと縁を切ったのは自分の弱点を消すためだったのに、シーズン2でメイヴはエレナとヨリを戻したことで弱みを抱えることになってしまう。

ところで、ホームランダーがメイヴの許可なくエレナのことをメディアに暴露したことは最低最悪クソ野郎以外の何ものでもないが、なぜあんなことをしたのか。

1つは嫉妬だろう。人々から愛されるのが生きがいの男が、民衆にもライアンにも拒絶されてズタズタのところ、メイヴには恋人から愛情を受けていることを知ってねたんだ。

もう1つは、『プライム・リワインド: インサイド・ザ・ボーイズ』エピソード6でアニー役のエリン・モリアーティも話していたが、報復の気持ちもあるだろう。

元恋人でもあるメイヴが、女性と恋愛関係にあったことを自分に隠していた。そのことに自尊心が傷つき、仕返しにメイヴも傷つけたかったのだと思う。

どん底へ

事情を知らないエレナは、やりたくないことを強要されても黙っているメイヴを責める。

エレナとの関係を危惧したメイヴは、エレナを守るためにあるものを手に入れる(しかも性犯罪者同然のディープに頼み事するとか、メイヴ的には屈辱の極みだったと推察)。

それはシーズン1で墜落した飛行機の乗客のスマホ。スマホにはホームランダーとメイヴが乗客を見捨てる様子を映した映像が残っていた。

この映像が世間に出回ればホームランダーの人気は失墜する。メイヴは証拠映像と引き替えに、ホームランダーがエレナに関わらないよう交渉するつもりだった。

しかし、ホームランダーより先にエレナがその映像を見てしまい、結果としてエレナはメイヴのもとを去って行く。

メイヴはエレナを失ってひどく落ち込み堕落。メイヴのやさぐれは重症で、仕事をすっぽかしたりスターライトにブチ切れたりと、今まで築いた地位を台無しにする勢いだった。

メイヴが落ちに落ちたのは単にエレナが離れたからではない。

飛行機事故の原因はホームランダーにあるが、メイヴはホームランダーを説得して乗客を救えなかったことに責任を感じ、罪悪感を引きずっている。

映像を見たエレナは事故のことでメイヴを責めることはなかったが、メイヴの心の傷を察して寄り添うこともなかった。

メイヴが詳細を語らないのにエレナに慈母のような反応を期待するのは無理があるが、うわべだけでも「つらかったね」とか「しょうがないよ」とか理解を示す言葉があれば違ったのだろうと思う。

また、ヴォートの悪事を証言してほしいと頼みに来たスターライトに対し、メイヴは命を助けただけで十分でしょと冷たく返すが、エレナに対しても同じ気持ちがあったのかもしれない。つまり、私のおかげであなたはホームランダーに殺されず生きているのだから、悪い状況は変えなきゃといった過剰な期待をしないでほしい、と。

メイヴはきっと根がまじめだから余計にいろいろと心がえぐられたのだろうなと思う。

吹っ切れる

エレナが出て行って全部どうでもいいムードだったメイヴも、持ち前の正義感からかスターライトに触発されたからかストームフロント退治に参戦。

シーズン1のセブン会議でスターライトがホームランダーに殺されそうになった時も、シーズン2第7話でスターライトがブラック・ノワールと戦っていた時も、ここぞというタイミングでスターライトのピンチを救ったのはメイヴ姐さんでした。

そしてホームランダーに例の映像を見せ、ブッチャーとライアンを見逃せ、スターライト非難をやめろ、私とエレナに関わるな、と要求を畳みかける。

なんでエレナがそばにいる時にさっさと見せなかったのかと思うが、ホームランダーが何をするか分からないという恐怖から実行を先延ばしにしていたのかなと。

エレナがいなくなって失うものがなくなってようやく、メイヴはホームランダーを黙らせることに成功。

それも自分のためというより、どちらかというとスターライトや見ず知らずの子供(メイヴはライアンの素性を知らないはず)を助けるのが主目的に見えるのがメイヴらしいと思った。

今後またメイヴがエレナと一緒に過ごすことになるかは不明だが、いずれにせよホームランダーがエレナに関与しなくなればメイヴの悩みは1つ解決ということになる。

今後のスターライトとの共闘に期待

シーズン1を見ている時から常々、スターライトとクイーン・メイヴが手を組めば最強なのにと思っていた。

シーズン2終盤でスターライトがやっとメイヴに協力を求めたものの、タイミングが悪すぎて実現せず。

お互いの利害が一致していることは2人とも認識済みなので、シーズン3以降はすんなり協力関係になることを期待したい。

ホームランダーの弱みがみんなの愛を失うことだとか、ブラック・ノワールがナッツアレルギーだとか、ディープがセブン復帰のためなら何でもするとか、そういった情報を把握できる洞察力もあり、メイヴは今後も大いに活躍できるのではないかと思う。

余談:Honda(と勘違いした話)

※2020/11/01追記:以下は完全に私の不勉強および勘違いです。赤字で訂正を追記しました。

最後に、クイーン・メイヴとは全く関係ないが1つだけ挙げておきたいことがある。

それは6話で、ケガをしたヒューイを病院に連れて行くためブッチャーが車を盗むシーンのこと。

ブッチャーが車の持ち主に言うセリフは吹替では「車を乗っ取るとしたらもっといい車を狙うだろ」、字幕では「盗むとしても韓国車は選ばない」だが、原音だとこの車は「ホンダ」だ。

※「ホンダ」ではありません。私の勉強不足と確認不足です。

ご指摘いただいて知ったのですが、ブッチャーは「ホンダ」ではなく「ヒュンダイ」と言っています。話者にもよりますが英語だとヒュンダイは「ホンダイ」や「ホンデー」と発音するようです。

発音以前に、車のエンブレムがヒュンダイだったのを見落としていました。

訂正前に読んでくださった方には申し訳ありません。

海外ドラマの日本語版は製作会社の意向なのか翻訳者かチェッカーの配慮なのか、原音に企業名が出てきてもなるべく訳出しないように工夫すると聞いたことがある。

個人的には、原音のセリフに日本企業名が出てくるならバンバン出してほしいなと思います。

関連記事:【ザ・ボーイズ】シーズン2最終話でストームフロントはドイツ語で何を言っていたか

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