文章力アップより詐欺対策に役立ちそう。『人を操る禁断の文章術』感想

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文章力アップの参考になることを期待してメンタリストDaiGoさんの著書『人を操る禁断の文章術』を読んでみた。

どちらかというと商品を売りたい人、契約や同意を取りつけたい人、気になる人との距離を縮めたい人に向いている本で、私のようにブログで独りよがりの感想を垂れ流したい人にはあまり向いていないことが最初の数ページで判明。

しかし読んでいるうちに気がついた。

この本には人の心に刺さるような、人に行動を促すような文章を書くためのテクニックが載っている。つまり読めば詐欺や詐欺まがいの誇大広告に騙されないようになるのではないかと。

例えば「○%が○○してます」や「○○のお客様だけの特別な情報です」といった文面。

「98%のお客様が株価下落の局面でも積立投資を続けています」とか「メルマガ読者様だけの特別な3日間のセールです」とか、ダイレクトメールでよく見る文章だ。

これは「みんなこうしていますよ」とほのめかすことで不安を煽ったり、「あなただけの」という言葉を入れることで特別感を出したりするためのものらしい。

商品価値のアピールよりも読み手の行動を促すことを重視しているので、

「解約しようと思っていたけど、みんな解約してないなら続けよう」

「メルマガ限定のセールだって。買おう!」

と思わせれば書き手の狙いどおりということ。

広告やDM、情報商材、金融商品の勧誘でこういった文章があったら、うたい文句に踊らされず冷静に商品そのもののメリット・デメリットを考えることが大事だ(なお、メリットとデメリットの両方を伝えることで信頼性が上がるというテクニックも本で紹介されている)。

他にも、「上げて、下げて、また上げる」という手法。

ポジティブに書き出し、ネガティブ情報で読み手の不安を煽り、最後にぐっと持ち上げることで人の心を動かすのだそう。

詐欺師になったつもりで趣味にもう少しお金をかけたい20~30代の独身男性に向けた例文を作ると、

「先日はAさんにお会いできてよかったです。○○の分野でお仕事をされている方とお話しするのは初めてだったので、とても勉強になりました。でも給料は思うように上がらず、年金がもらえるかも分からず、将来が不安ではありませんか? そんなAさんに、1日1時間で簡単に月5万円稼げる副業を紹介したいんです」

みたいな感じだろうか。

ちょっとウソくさすぎるので私は詐欺師になれそうにないが、読み手の悩みを探ってトピックを選び、世代にあわせて言葉遣いを選ぶことで、読もうと思ってもらえる文章が完成するらしい。

セミナーの勧誘やアフィリエイト、情報商材を売る人はこうしたテクニックを駆使しているのだろう。

対人関係をよくしたいと考えている人に役立つ文章テクニックもいくつかあった。

中でも印象的だったのは相手の承認欲求を満たす文言を入れるだけで、表面的なメールが一気に読み手の心に響く文章になるというもの。

会社や取引先の人と食事した時のお礼などで、単に「昨日はありがとうございました。またよろしくお願いします」だけだと記憶にも残らないが、

「昨日ごちそうになったトンカツ、肉厚なのにやわらかくて、あんなにおいしいトンカツは生まれて初めてでした」とすると、読み手に「あなたは私に影響を与えましたよ」ということを伝えることができる(トンカツは今の私の気分で登場)。

この場合、読み手の承認欲求を満たすので、わざわざ「また誘ってください」とメールに書かなくても、読み手が「また誘ってあげよう」という気持ちになってくれるのだそうだ。恋愛でも有効っぽい。

私だったら仕事上の付き合いの人や会って間もない人に「生まれて初めて」なんて書かれたら逆に警戒してしまうが…。

上司に好かれると仕事で有利になるような職場環境だったらかなり効果的なのではと思う。

とまあ、詐欺対策の目線で読んでいたので偏った感想になったが、人の心を動かすためのあの手この手の文章テクニックが紹介されているので、少なくとも文章では変な勧誘や広告に騙されにくくなったと思いたい。
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