【ウィッチャー】舞台裏ポッドキャスト感想③ シリの役作り、驚きの法、晩餐会シーン
2020年1月22日に配信されたNetflixの音声コンテンツ「Behind The Scenes」の「The Witcher | Cirilla the Lion Cub of Cintra(シリラ・シントラの仔獅子)」を聞いたので、だいたい理解した範囲で内容をメモした。
時折、内容に関して調べたことや感想を挟んでいる。シーズン1最終話までのネタバレあり。
今回はシリに関する舞台裏について、スタッフやシリ役フレイヤ・アーランのインタビューを通じて語られる。制作者による驚きの法の説明もあった。
全部メモしているわけではないのと、読みやすいように順番を入れ替えている部分もあるので、正確な内容に興味のある方はポッドキャストを聞いてみてください。
>>Behind The Scenes
シリのキャスティング
- キャスティング・ディレクターはシリの配役にあたり、両親を亡くして祖母と暮らし、その祖母を残虐な状況で失う16歳の少女を演じられる役者を探す必要があった。
- 原作からの大きな変更点の1つはシリの年齢を少し上げたこと。
- フレイヤ・アーランは制作側が求めていたシリの純粋さと深さを表現した。
補足
ゲラルトが「シントラは12年ぶり」のようなことを言っていたので、シリは原作と同じ12歳くらいなのかと思っていたが、16歳という設定のようだ。確かに12歳にしては大人びていたが。
ゲラルトが「シントラは12年ぶり」のようなことを言っていたので、シリは原作と同じ12歳くらいなのかと思っていたが、16歳という設定のようだ。確かに12歳にしては大人びていたが。
ドラマにおけるシリの役割
- シリは何も分からない状態で旅を始めることになるので、シリを通して視聴者はあの大陸がどのような場所なのか、いかに暴力に満ちた場所なのかを目にする。
- ウィッチャーの世界は複雑で、主義主張の異なる15の国が存在している。それを第1話で全部紹介したら視聴者は離れてしまう。大陸全体を描くのではなく、ゲラルトはブラビケン、シリはシントラという小さな枠からストーリーを始めることにした。
- シリ、キャランセ(シリの祖母)、エイスト(シリの義祖父)の会話には、シントラの戦争の歴史やシリの家族の歴史が盛り込まれている。
シントラの大広間や市民のデザイン
- シントラはフランスにあるカルカッソンヌの城塞をモデルにしている。
- プロダクションデザイナーは、エリュシオン(死後の楽園)を意識してシントラを設計した。
- シントラの王座がある大広間は世界一美しく雄大で、他の王国から来た客が萎縮してしまうような場になるよう作られた。
- 大広間のドアは6メートル。ドアを通った人はみんな自分が小さくなったと感じる。
- 大広間のセットはあまりにも見事で、ウィッチャー式ウェディングができるとスタッフが冗談を言ったほど。
補足
カルカッソンヌはフランス南西部にある都市で、城壁に囲まれた部分が「歴史的城塞都市カルカッソンヌ」として世界遺産に登録されている。
ここ10年くらい私の死ぬまでに行きたい場所の1つに挙がっているのだが、パリからTGVで5時間以上かかる場所でなかなか気軽に行けない。
カルカッソンヌはフランス南西部にある都市で、城壁に囲まれた部分が「歴史的城塞都市カルカッソンヌ」として世界遺産に登録されている。
ここ10年くらい私の死ぬまでに行きたい場所の1つに挙がっているのだが、パリからTGVで5時間以上かかる場所でなかなか気軽に行けない。
- シントラに住む人はシントラ風のデザインになるようにした。
- 上流階級の人は美しく髪を整え、金持ちの印象を与えるよう金や宝石のついたアクセサリーを身につける。一般市民はシンプルな髪型で、ちょっとした飾りをつける程度。
- 王族は王族なので好きなだけ盛れるが、シリを派手に飾り付けて宝石まみれにしたくはく、中世ヨーロッパの王女の衣装を参考にした。
- ヘア&メイクアップ担当はフレイヤ・アーランの金髪を灰色にするため、合計4回フレイヤの髪を染めた。
- フレイヤ・アーラン「変な感じでした。7カ月くらいよそから来たエルフみたいな頭だったので、街を歩いている時は注目されていたと思います」
- ドラマでシリは身を隠すために泥をつける。使ったのは塗料が含まれているメイク用の泥のため、染めた髪の色が変わらないかどうか本物の髪の毛で事前に試さないといけなかった。
- 灰色の髪と並ぶシリの特徴は人を惹きつける緑色の瞳。フレイヤ・アーランの目は青のため、緑色のカラーコンタクトレンズを4種類ほど試してぴったりくる色を探した。
- シリの母親パヴェッタの目はシリの目より明るい緑色で、シリの父親ダニーの目は茶色。両親の目の色を引き継ぐような色にしたかった。シリを見たらじっと目を見つめてしまうような、奥深さのあるやわらかい緑色を目指した。
シリの力について
- フレイヤ・アーラン「シリは自分が王女だと自覚しています。同時に、城の外で男の子たちと遊んで庶民の世界も知っている。庶民の世界と王女としての世界の2つがシリの世界でした。でもシントラの外に残酷で恐ろしい世界があることは知らなかったのです」
- シリのストーリーにはファンタジーの王道が盛り込まれている。無邪気で純粋な子供が冒険に追いやられたり、未知の力を使えたり。でも「ウィッチャー」でそれらは暗く描かれている。
- フレイヤ・アーラン「7話でシリは馬や友達を無意識のうちに殺してしまいます。シリの力は『見て、かっこいいでしょ』というようなものではなく、もっときついものです」
- 「力が発動するのが、シリが心の底から必要とした時なのがいいですよね。シリはおばあさんを亡くして、ベビーシッター(笑)のマウスサックもいなくなって、お兄さんみたいだった護衛も殺されて、シリを見守っていた人はみんないなくなってしまった。だから自分の中に頼れるものを見つけないといけなくて、でも本人は大きな力があることに気づいていない。シリの力はシリを守るためにあるという感じですね」
驚きの法とは(ドラマ制作者による説明ver.)
- 「ウィッチャー」の世界では太古から存在するとても重要な誓いである。
- ローレン・シュミット・ヒスリック(制作&脚本)「説明させないで!(笑)」
- 「誰かの命を救ったら、相手から報酬をもらう権利が生じます。相手がその時お金を持っていなかったら、お金の代わりに驚きの法を行使できます」
- 「驚きの法では、報酬を受ける人がもらうものは報酬を与える人が家で最初に見つけた予期せぬもの(あると思っていなかったもの)になります」
- 「例えば、2人の人が出会って、片方がもう片方を助けたとします。助けてもらったほうが家に戻ると、飼っている牛が小牛を生んでいたとか、予想していなかった農作物が育っていたとかが分かります。その小牛なり農作物なりを助けてくれた人にあげるわけです」
- 驚きの法はギャンブルのようなもの。報酬は袋いっぱいの金である可能性もあるが、子犬1匹かもしれない。それとも、もっと予期せぬものかもしれない。
- ローレン・シュミット・ヒスリック「驚きの法がおもしろいのは、留守中に妻が妊娠していて、家に帰ったら子供が産まれたというケースが多いことです」
- シリの運命は3度の驚きの法によって決まった:①ダニーがキャランセの夫を助けた時(4話で言及)、②ゲラルトがシントラの晩餐会でダニーを助けた時(4話)、③ゲラルトがモンスターから商人を助けた時(8話)
シントラの晩餐会の撮影裏話
- 第4話を監督したAlex Garcia Lopez(3話も監督。前回のポッドキャストにも登場)は汗まみれでリアルな撮影を好み、CGを駆使した映像は作りたくなかった。
- セットの中で暴風を起こすため、巨大な業務用扇風機を6台ほど用意した。
- 物が飛び交うシーンでは、撮影用に作ったプラスチック製のイスやナイフ、チキン、酒瓶などを9人くらいの美術スタッフが投げていた。
森でゲラルトとシリが出会うシーンの撮影裏話
- フレイヤ・アーラン「スケジュールミスがあったみたいで、2分間のシーンなのに撮影に3日かかりました」
- (撮影でたくさん走らないといけなかったことについて)「ヘンリー(ゲラルト役のヘンリー・カヴィル)はすごくよく鍛えているけど、私はあまり運動してなくて、実際に運動したのは撮影中がほとんどです」
- 「ゲラルトに駆け寄るテイク数が多くてゼーゼー言ってました。数メートル走っただけで息が切れて。シーズン2のために鍛えなきゃってなりました」
シリの運命について
- フレイヤ・アーラン「シリはゲラルトの運命になりましたが、シリが自ら選んで決断していった結果そうなったのです」
- 「シーズン1でシリはいろんな人からあれをしなさいとか、それはするなとか、あなたの将来はどうとか、あなたの限界はこうとか言われますが、最終的にシリは自分で未来を決めるようになります。
補足
原作ではゲラルトとシリが運命で強く引き合うように描かれていたのに対し、ドラマでは登場人物が自ら選んだ結果ということが強調されている。
例えば4話のシントラの晩餐会では、原作のゲラルトはパヴェッタの妊娠に気づいた上で驚きの法を行使したのに対し、ドラマでは「そんなに礼をしたいなら驚きの法でよろ」と適当に答えている。
ここには書かなかったが脚本担当のローレン・シュミット・ヒスリックが「私は運命を信じていない」と本ポッドキャストで話しており、ドラマには制作側のそういった思想が反映されているのだなと思った。
運命は決められているものではなく自分で決めるもの、という時代の流れに合わせた可能性もある。原作が発表されたのは20年近く前なので。
原作ではゲラルトとシリが運命で強く引き合うように描かれていたのに対し、ドラマでは登場人物が自ら選んだ結果ということが強調されている。
例えば4話のシントラの晩餐会では、原作のゲラルトはパヴェッタの妊娠に気づいた上で驚きの法を行使したのに対し、ドラマでは「そんなに礼をしたいなら驚きの法でよろ」と適当に答えている。
ここには書かなかったが脚本担当のローレン・シュミット・ヒスリックが「私は運命を信じていない」と本ポッドキャストで話しており、ドラマには制作側のそういった思想が反映されているのだなと思った。
運命は決められているものではなく自分で決めるもの、という時代の流れに合わせた可能性もある。原作が発表されたのは20年近く前なので。
おわりに
舞台裏ポッドキャストは3話で終わりのようだ。シーズン2の配信を待つ間、「ウィッチャー3」を最初からやり直してプレイ日記をつけるかもしれない。
>>【ウィッチャー3 プレイ日記1】オープニング~イェネファーに会うまで
>>【ウィッチャー】舞台裏ポッドキャスト感想。綿密に作られたドラマ版ゲラルト
>>【ウィッチャー】舞台裏ポッドキャスト感想② ダンケルク構成、イェネファーの役作り
シーズン1感想:
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話
原作について:
ウィッチャー原作小説の一覧・ゲームとの違いを紹介
ウィッチャー原作小説The Last Wishの内容と感想
ウィッチャー原作小説Sword of Destinyの内容と感想
その他:ウィッチャー記事一覧
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