【ウィッチャー】舞台裏ポッドキャスト感想② ダンケルク構成、イェネファーの役作り

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2020年1月15日に配信されたNetflixの音声コンテンツ「Behind The Scenes」の「The Witcher | Yennefer of Vengerberg」を聞いたので、だいたい理解した範囲で内容をメモした。

時折、内容に関して調べたことや感想を挟んでいる。映画『ダンケルク』とドラマ5話までのネタバレあり。

今回は主にイェネファーに関する舞台裏について、スタッフやイェネファー役アーニャ・シャロトラのインタビューを通じて語られる。

全部メモしているわけではないので、詳細に興味のある方はポッドキャストを聞いてみてください。

>>Behind The Scenes

「ウィッチャー」、今度はアニメ化らしい。



『ダンケルク』をモデルにした構成

  • 制作責任者で脚本担当のローレン・シュミット・ヒスリックは、ゲラルト、イェネファー、シリの3つの異なる時間軸のストーリーを映画『ダンケルク』のように展開することで、シーズン1で短編小説をドラマ化しながら長編小説のウィッチャーサーガを紹介できると考えた。
  • 時間の流れはゲラルトが20年、イェネファーが70年、シリが2週間となっている。

補足

『ダンケルク』はクリストファー・ノーラン監督による、第二次世界大戦を舞台にした2017年製作の映画。

イギリスを始めとする連合軍が、フランス北部のダンケルク海岸でドイツ軍に包囲される。その時に実施された撤退作戦を、陸の1週間・海の1日・空の1時間の3つの違う時間軸で同時展開していく。

出演者が美男子ばかりのため、私は勝手に英国イケメン博覧会と呼んでいる。

ウィッチャーの脚本がダンケルク方式で書かれたと聞いた時、私は「そうか、そうだったのか!」とすごい発見をした気になっていたのだが、とっくにネットニュースになっていた。このポッドキャスト、既出のインタビューも入っているのか。



ウィッチャーに登場する女性たちが強いワケ

  • 「ウィッチャー」は1980年代に書かれたにもかかわらず、どの女性キャラクターにも強さがある。ヒスリックは著者アンドレイ・サプコフスキにそのことを尋ねた。
  • ポーランドでは第二次世界大戦で多くの男性が死んでしまったため、戦争後は女性が家庭や地域の中心となり、稼ぎ手となった。
  • サプコフスキは1950年代にポーランドで子供時代を過ごした。イェネファー、シリ、ティサイアはサプコフスキが見てきた女性たちがモデルとなっている。


イェネファーの過去、キャスティング、役作り

  • イェネファーの過去については、原作では数行しか言及されていない。
  • 「350ページの小説が400ページあったとしたら一体どんなストーリーが書かれていただろうか」と考えながらオリジナルの要素を足した。
  • イェネファーの過去については、回想に1話使うのではなく、1シーズンかけてアレツザ魔法学院からソドンの丘の戦いまでを順番に描いていくことにした。
  • ファンは小説でイェネファーの昔の姿や暴力的な父親のことを知っているが、実際にイェネファーの不自由な体や暴力的な父親を見ること、それがイェネファーにどんな影響を与えたのか分かることはファンにとって楽しいはずだと思った。

  • 第2話でイェネファーは14歳だが、シーズン1の最終話では70代である。アンチエイジングの魔法でそうは見えないが。
  • なので、イェネファー役には若くても年上の女性を演じることができ、かつ大きな変身を表現できる俳優が必要だった。
  • 「ウィッチャー」のキャスティング・ディレクターは、以前別の仕事で演劇学校を出たばかりのアーニャ・シャロトラのオーディションを見た。この時、アーニャと一緒に仕事をする運命を感じたという。

  • メイクアップ担当は変身前の醜いイェネファーを作るため、アーニャに前髪を重くした真っ黒なウィッグをつけ、頬を大きく見せるために口に器具を入れた。
  • 曲がった背骨やあごは古い医療記録を調べて補装具をデザインした。


魔法やアレツザの設定

  • 制作初期の段階でよく話し合ったのは、どのように魔法を表現するかということだった。多くの作品で魔法は困難な状況をたやすく解決してくれる手段として使われる。それでは面白くないので、「ウィッチャー」では魔法には代償が伴うようにした。
  • 魔法を唱えると魔法使いは大なり小なり犠牲を払う。疲れたり鼻血が出たりする程度のこともあるが、命を削っている。魔法を使い続ければ死ぬこともある。

  • アレツザ魔法学院は古代種族(人間によるノーム、ドワーフ、エルフの総称)によって建てられたという設定。美術監督は、アレツザはエルフが建てたと想定した。
  • やわらかく繊細な建築ではなく、古代民族のような雰囲気を出すためマヤ文明や古代エジプトの建築を参考にした。
  • アレツザ魔法学院は、カナリア諸島にある波の打ち寄せる巨大な岩の上に視覚効果を使って作り上げた。

補足

カナリア諸島はモロッコの西にあるスペイン領の島々。

スペイン領ではあるが、「リゾート目的のイギリス人ばっかり」とスペイン人の友達が嘆いていた。イギリスの冬は寒い上に天気が悪いため、カナリア諸島はイギリス人に人気の場所らしい。

アレツザの撮影場所はカナリア諸島の最北端にあるラ・パルマ島のRoque de Santo Domingoのようだ。

参考サイト:The Witcher Filming Locations Guide: Where was The Witcher filmed?



  • 魔法の手術には犠牲が伴う。イェネファーは美しくなる代わりに生殖器を失った。
  • 美しくなることだけがイェネファーの目的だと思ってほしくない。イェネファーは自分には強い力があるのに、障害のせいでそのことを世間に気づいてもらえないと考えていたのではないか。
  • イェネファーが手術を受ける決断をしたのは、エイダーンではなくニルフガードに派遣されることになったからだ。自分の出自(エルフのクオーター)を理由にして他人に未来を決められたくなかった。


魔法整形のシーンとその後のイェネファー

  • 第3話の監督Alex Garcia Lopezは血みどろで汗臭いカオスを好むため、血のりを大量に用意させた。映画『キャリー』は監督が参考にした作品のひとつ。
  • アーニャ・シャロトラ「リハーサルがなかったので、あのイスに縛り付けられて叫ぶまで何が口から出てくるか想像できませんでした。あの日の演技は全て自然体なんです」

補足

『キャリー』はスティーブン・キングの原作小説を映画にしたもの。ブライアン・デ・パルマ監督による1976年公開版は名作ホラーとして名高い。

おっかないのは最後のほうに集中しているので、ホラー苦手な私でも何とか見ることができた。クロエ・グレース・モレッツ主演のリメイク版は見ていない。

  • 手術後のイェネファーは進化を象徴するため、現代風のメイクが施されている。
  • アーニャ・シャロトラ「アーニャである時の私は化粧をしていない時が一番自信に満ちているので、イェネファーとしてメイクされて感じ方がすごく変わりました。化粧も一種の仮面だからイェネファーにはぴったり。イェネファーは自分のもろさを誰にも気づかれないよう隠していますから」
  • 大きな変化を遂げた後も、イェネファーの「愛されたい」という弱さは残っている。

  • 脚本チームがはっきりさせておきたいのは、「美しくなった途端、世界は生きやすくなる」という幻想をドラマで描きたいわけではないことだ。
  • イェネファーは自分の体にしたことを後悔しているし、イェネファーの選択が正しかったのかどうかを視聴者に考えてもらいたい。
  • 選択を迫られ、選択を通じてどのように生きるかは「ウィッチャー」という作品の持ち味でもある。


ドラマ版の核

  • 第5話でゲラルトとイェネファーの時間軸は一致する。
  • ゲラルトにとってイェネファーは未知の女性だが、視聴者はイェネファーの変化を見てきた。ゲラルトとイェネファーの物語を並行して描いたことで、ふたりの出会いがより深いものになった。
  • ローレン・シュミット・ヒスリック「ゲラルトとイェネファーの関係で私が好きなのは、ふたりは一緒に生きていくことも別々に生きていくこともできないところです。とてもリアルな恋愛関係だと思います。」
  • 「ふたりは愛したり憎んだり、くっついたり離れたりします。彼らは自立して力もあり、それぞれの専門分野で成功していますが、自分と似たような人と出会い、どうすればいいか分からなくなっているのです」
  • 「ゲラルト、イェネファー、シリは壊れた家族です。3人共、誰の助けもいらないと考えていますが、運命によって引き合うことになります。初めて会った時はうまくいきませんが、次第にお互い大きな助けになることに気づいていきます。それがこの作品の面白さだと思いますし、ドラマ版の核でもあります」

次のエピソードではシリの舞台裏が語られる。

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