【ウィッチャー】S1E8感想。影が薄かった2度目の驚きの法

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Netflixドラマ『ウィッチャー』シーズン1の第8話(最終話)まで見た感想をまとめた。

まず、各話オープニングのロゴがメインロゴに変わっていくムービーがかっこよかった!

メインロゴを構成するツバメ、狼、星はそれぞれシリ、ゲラルト、イェネファーを表している。

イェネファーのロゴが何のことか分からなかったので調べたら、ペンダントで身につけている黒曜石の星のことらしい。

シーズン1の最終話は原作「Something More」が元になっていたので、原作との比較をしながら感想を述べたい。

>>そしてケィア・モルヘンへ。ウィッチャー短編小説「Something More」感想


イェネファー:ソドンの丘の戦い

ニルフガード軍と22人の魔法使いが戦った「ソドンの丘の戦い」。

原作小説でもゲームでも名前だけ登場してきた出来事だが、詳細な戦闘が描かれたのは今回が初めて。

短編「Something More」においてもソドンの丘の戦いは既に終わった後で、戦死した14人の魔法使いの中にイェネファーがいるのかどうか、ゲラルトがソドンの丘で確かめるという場面があっただけだった。


本エピソードの魔法使いたちの会話によると、戦いに至るまでの流れは以下のようになっている。

ニルフガード軍が北方諸国へ進軍するためにはソドンの丘を通る必要がある

ニルフガード軍がソドンの丘に到着するまであと2日だ

テメリアとケイドウェンが領土を守るため軍を出しているから、それまで魔法使いで砦を守り切ろう

しかし予定より早くニルフガード軍が到来

援軍を待っている時間がなくなったので、ここにいる22人の魔法使いで戦おう

北方諸国というのはテメリアやエイダーンなど大陸の北に属する国々の総称。

ウィッチャーⅠ エルフの血脈 (ハヤカワ文庫FT)』の巻頭に分かりやすい説明が載っており、Kindleの無料サンプルでも見ることができる。


ソドンの丘の戦いでは多くの魔法使いが犠牲になり劣勢となったが、それを覆したのがイェネファーだった。

ニルフガード軍を一斉にグリルしたイェネファーを見て、イェネファーって本当に強い魔法使いだったんだなあと思った。

ティサイアが被害を受けないようにしたのも、強大な力をちゃんとコントロールできるということだし。

イェネファーは今までずっと自分の欲望のままに力を追い求めて好き勝手やってきたわけだけど、他人のために力を使ったのはこの日が初めてなのではないかな。

結果的に、ニルフガード軍を止めることに誰よりも心血を注いだのが、数時間前はアンチアレツザで「子供もできなかったし、人の3倍くらい生きたけど人生あんまいいことなかったわ」とふて腐れていたイェネファーだったというのが小気味よい。

「この世界に残せる財産もないし」と言ったイェネファーに、ティサイアが「みんなを守ることで財産を残せる」、つまり子供がいなくても世界に残せるものはあると伝えたシーンも印象的だった。


ソドンの丘の戦いはシーズン2に向けての布石になるだろう。

しかし、シーズン2が配信される頃にはシーズン1の内容を忘れる可能性が濃厚民族なので、覚えておきたいと思ったポイントをメモする。

  • 北の制圧が目的ならニルフガードはわざわざシントラを攻める必要なかった
  • カヒルはシリ確保にこだわっている
  • ヴィルゲフォルツはなぜ仲間を殺した?
  • 消えたイェネファーはどこ行った?


シリ:親切な女性に助けられる

男どもに襲われたと思いきや、シリが目覚めると男どもは返り討ちにあっていた。

驚愕するシリのもとへ、前回の親切な女性がやってきて保護してくれることに。

シリに冷たい反応をされたあげく馬を盗まれたのに、この女性はやけに優しいので何か裏があるのではと疑ってしまったが、本当にただの親切な女性だった。シリにとって久しぶりに安心して眠れる夜だったのでは。

原作を知っているので、この女性が家族の話をしているあたりで「この家ってもしや…」となった。


ゲラルト:運命の出会い×2

シントラ城内を捜索したゲラルトはおそらくシリも死んだと思ったのだろう。

ケィア・モルヘンに帰ろうとしたところで、商人ユルガを助けるためモンスターと戦い重傷を負う。

朦朧とした意識の中でゲラルトは母親のことを思い出す。

ゲラルトの幼少期のシーンは原作にはなく、ドラマでは魔術師ヴィセンナ=ゲラルトの母親ということが誰が見ても理解できるようになっていた。

幼い自分を捨てた母親と運命的な再会を果たしたゲラルト。

「なぜ俺を捨てたのか?」「無事にウィッチャーになれる子供は10人に3人しかいないと知っていたのか?」など、聞きたかった答えは得られないまま眠りに落ちる。

ゲラルトという名前はヴェセミルがつけた、というゲラルトの言葉を原作だとヴィセンナが否定するのだけど、それがないということはゲラルトの生い立ちに関する掘り下げが今後もあると期待していいのだろうか。

その後ゲラルトはユルガの家に着き、森で運命の子シリと出会う。

直前にシリが家を出て行ってしまったので、まさかシントラに続きここでもすれ違いなのかと一瞬焦ったが、運命によりゲラルトとシリが対面。感動のシーンでした。

でも原作も負けず劣らず、というか私比では原作のほうが5倍くらい感動的なので、日本語版が発売されたらぜひ短編小説も読んでほしい。

小説ではゲラルトとシリの初対面はブロキロンの森で、ユルガの家で会う時は既にふたりは知り合いだ。原作とドラマで違う展開を楽しめる。


第8話で個人的に見過ごすことができなかったのは、道中ユルガが「礼は驚きの法で返す」と発言したことがさらっと流されたことである。

ユルガはモンスターに襲われたところをゲラルトに助けられ、その恩を驚きの法で返すと言った。

ユルガの知らぬ間にユルガの家にシリが来ていたので、ユルガがゲラルトに与える「予期せず家にあったもの」はシリだったのだ。つまりゲラルトは驚きの法によって2度シリと結ばれたことになる。

この一大イベントをどうしてもっと押し出さなかったのか!

第1話のレンフリの「森にいる少女があなたの運命」という言葉が8話目で意味をなすのも面白い流れではあるが、「なぜレンフリがそんなことを?」と違和感がずっとあった。

ユルガの驚きの法を前面に出せばレンフリのセリフいらないのに。

たぶん製作者側は第1話からゲラルトとシリの結びつきを描くために、レンフリにプラスアルファの役割を与えたのだろう。

2度目の驚きの法、すごく好きな要素だっただけに残念。詳細は原作の感想にて。

>>そしてケィア・モルヘンへ。ウィッチャー短編小説「Something More」感想


最後、シリがゲラルトに出会って早々「イェネファーって誰?」と言った時は「他に聞くことないんかい」と思いつつ、シリの力の未知数具合を表すセリフだったなと思う。

顔も知らないゲラルトを見つけ出したシリが、今度は名前すら聞いたことのなかったイェネファーのことを口にしたわけなので。

シリがイェネファーのことを唐突に質問したようになっているのは、撮影後に編集されたから。

製作と脚本を担当したローレン・シュミット・ヒスリックがTwitterで脚本を公開し、いくつかセリフを省いたことを明かしている。



当初は「おばあさまの言ったとおり、私はあなたの運命なの?」「いやシリ、君はそれ以上だ」など入っていたらしい。あったらあったで良かった気もするが、初対面なのに大げさな感じがするので言葉が少ないシンプルな出会いで結果オーライなのかも。

シーズン2でシリはケィア・モルヘンに行くのだろうか。イェネファーと会うのだろうか。楽しみに待ちたい。


ドラマの舞台裏が語られたポッドキャストが公開されたので、聞いてみて感想が書けそうだったら書こうと思っている。

>>【ウィッチャー】舞台裏ポッドキャスト感想。綿密に作られたドラマ版ゲラルト



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