【ウィッチャー】S1E7感想。キャランセの判断はドラマ的にはグッジョブ
Netflixドラマ『ウィッチャー』シーズン1の第7話まで見た感想をまとめた。
今回は原作を元にしている部分はあれど、ほとんどがドラマオリジナルだったので新鮮な気持ちで見ることができた。
イェネファー:アレツザへ
ゲラルトへの想いが魔法によるものだと分かったイェネファーは、イストレドこそが大切な人だと考え何十年ぶりにイストレドと再会。しかし今のイストレドにとって大事なのはイェネファーよりも研究に打ち込むことだった。
イストレドにもイェネファーと一緒に過ごしたいと思う時期があったが、当時のイェネファーは自分の力を強めることが最優先で、イストレドがエイダーンに来ることを拒んでいた。
結局タイミングがあわずイェネファー振られる。
原作だとイストレドはイェネファー一筋な感じだったが、ドラマはずいぶんイストレドの心の動きが掘り下げられて人間味が出たなあと思う。
その後イェネファーはヴィルゲフォルツに連れられてアレツザへ。
ニルフガードがシントラに攻め込んだことで、北の魔法使いたちがアレツザに招集されていた。
魔法使いを拒否してきたシントラを助ける気はないという者が多い中、ヴィルゲフォルツとティサイアは、ニルフガードがシントラだけでなく他の国にも勢力拡大することを懸念し、ニルフガードを止めるべきだと主張する。
しかしニルフガード王付きの魔法使いフリンギラが割り込み、ニルフガードの目的はシントラだけだと明言。多数決で魔法協会はシントラに干渉しないことに決まる。
これはフリンギラの意見が通ったというより、ストレゴボルら年配の魔法使いがシントラを痛い目に遭わせたかっただけのように見えなくもない。大義より好き嫌いで物事が決まる世の常。
それにしても魔法使いが集まって話し合うシーンって、固有名詞が多い上に魔法使いどうしが腹の探り合いしているので小難しい。
小説も同じで、というかビジュアルが分からないぶん小説だともっと地獄で、長編小説2巻『ウィッチャーⅡ 屈辱の刻』でのアレツザの集会なんかは結構大変だった記憶がある。
フリンギラの口から、重要人物であるニルフガード皇帝エムヒルの名前が登場したのは注目に値する。
カヒルやフリンギラのセリフで出てきた「白炎」もエムヒルのことを指す言葉だが、なぜここまで名前を出さなかったのかは不明。
ゲームをやっていれば「エムヒルってアレのソレでしょ」程度の話だが、小説だとその正体は長編5巻の終盤でようやく明かされる重要事項である。
ドラマしか見ていなくてネタバレしたくない人は、ネットでエムヒルとググったり当ブログの「ゲラルトとシリの関係の始まり。ウィッチャー短編小説「A Question of Price」」を読んだりしてはいけない。
ゲラルト:シリを守るためシントラへ
まさか第1話でシントラがニルフガードに襲撃された時、ゲラルトがシントラで幽閉されていたなんて。ゲラルトはシントラの晩餐会から12年後、ニルフガード軍からシリを守るためシリを迎えに行っていたのだった。
たぶん前回イェネファーに「驚きの法で勝手に結びつけた子の責任もとれないくせに」と言われた影響が大きいと思われる。
とりあえずドラマのシリは12歳だと判明。
(追記:と思いきや、舞台裏ポッドキャストで16歳というようなことを話していたので違うのかも。
>>【ウィッチャー】舞台裏ポッドキャスト感想③ シリの役作り、驚きの法、晩餐会シーン
たしかにゲラルトは晩餐会以来のシントラ訪問とは言っていない)
原作だとゲラルトは驚きの子が6歳になったら迎えに行くと約束をしており、シリが6歳になった時にシントラを訪れている。しかし驚きの子を引き取る気はなかったため、ゲラルトはマウスサックやキャランセと会話だけして去って行く。
キャランセがシリを渡したくなくてゲラルトの暗殺を目論んでいた、というのは原作でもあったが、パヴェッタが海難事故で亡くなってからは運命を信じるようになり、シリをゲラルトに渡してもいいと考えていたのはドラマ版と大きく異なるところ。
ドラマのキャランセは過激派を貫き、にせシリラを用意してとことん運命に逆らおうとする。
そして企みがあっさりバレて、運命なんてくそくらえ、パヴェッタが死んだのはお前のせいだとゲラルトに向かって啖呵を切る。
ゲラルトもキャランセもシリの安全第一という点では意見が一致しているのに、まるでかみ合わない。
ゲラルトにも魔法使いにも高慢だと指摘されるキャランセ。
己の道を突き進むのは指導者として正しいこともあるが、運命の力が強い世界では悲劇を招く結果となった。
キャランセが瀕死になってようやく運命を認めたのは判断が遅かったと言わざるを得ないが、もしキャランセが速やかにゲラルトにシリを渡していたらウィッチャーのシーズン1は3話くらいで終わり、登場人物も3分の1くらいに減っていただろうから、ドラマ的にはキャランセはすばらしい働きをしたと言えよう。
ところで、フェイクシリはとある事情で長編小説にも出てくる。ドラマでは今回登場した少女がそのまま利用されることになるのか気になる。
シリ:スケリッジへ向かうはずが…
海の向こうのスケリッジに行きたいシリ。ゲラルトのことは諦め、スケリッジにいる親戚を頼ることにした模様。シリは親切に話しかけてきた女性の馬を盗み、人里離れた場所で休んでいたところをシントラ市民に襲われる。
シリは不思議な力で男どもを吹き飛ばし、トランス状態で予言めいた言葉をつぶやく。
シリの予言モードは長編小説で出てくる現象。いよいよあの長く壮大なウィッチャーサーガが始まるのかと期待がグングン高まる。
が、シーズン2の配信予定は2021年らしいので、期待は高すぎず低空飛行で持続させようと思った。
今回の好きなシーン
シリが女性から盗んだ馬で走り去った後、たき火をしながら馬に話しかけて、Gods, what kind of crazy person talks to a horse?
(うっわ、馬に話しかけるなんて私どうかしてる)
と言ったところ。
ゲラルトを遠回しに皮肉る脚本センスに乾杯。
次の記事:【ウィッチャー】S1E8感想。影が薄かった2度目の驚きの法
前の記事:【ウィッチャー】S1E6感想。伝説のドラゴンの扱いが残念だった
その他:ウィッチャー記事一覧
関連記事
>>【ウィッチャー】舞台裏ポッドキャスト感想③ シリの役作り、驚きの法、晩餐会シーン
>>三角関係の行方。ウィッチャー短編小説「A Shard of Ice」感想
>>【ウィッチャー】S1E1感想。シリ視点のシントラ脱出が新鮮
>>【ウィッチャー】舞台裏ポッドキャスト感想③ シリの役作り、驚きの法、晩餐会シーン
>>三角関係の行方。ウィッチャー短編小説「A Shard of Ice」感想
>>【ウィッチャー】S1E1感想。シリ視点のシントラ脱出が新鮮