【ウィッチャー】S1E4感想。驚きの法とブロキロンの森
Netflixドラマ『ウィッチャー』シーズン1の第4話まで見た感想を、原作小説との比較を交えながらまとめた。
ついに出てきた驚きの法!
当ブログには小説版と英語サイトの情報をもとに書いた、驚きの法の解説記事がある。
>>ゲラルトとシリをつないだ驚きの法とは。ウィッチャーの世界の習慣
ドラマ版との大きな違いがあったらどうしようと内心おびえていたが、私の日本語がダサいくらいで内容はだいたい同じだったので安心した。ドラマ以上のネタバレも書かれていない。
ゲラルト:キャランセ、パヴェッタ、ダニーと会う話
ゲラルトは原作小説「A Question of Price」をベースにした話。小説との目立つ違いはシントラの晩餐会に参加した理由がパヴェッタの招待ではなくヤスキエルの護衛だったことくらいで、ドラマ版の流れも内容も小説とほぼ同じ。それだけこのエピソードは重要だということだ。
>>ゲラルトとシリの関係の始まり。ウィッチャー短編小説「A Question of Price」
(注意:上記の記事はパヴェッタとダニーのその後やそれ以上のことにも触れているので、ドラマ以外のネタバレをシャットアウトしたい方は読まないほうがいいです。ゲームやった人はまあ問題ないかな…)
ゲラルトの時間軸は第1話で自殺したキャランセが存命で、シリが生まれていない時代だと判明する。
ドラマのシリが何歳の設定なのかは分からないが、小説だとシントラが陥落してゲラルトと合流する頃のシリは12~13歳なので、ざっくり10~15年前だろう。
パヴェッタの年齢は言及されなかったが、原作では今回の晩餐会の時点で15歳だった。ドラマ版のパヴェッタはもう少し年上に見える。さすがに15歳で妊娠はNetflixでは出せなかったか。
(中の人を調べたところ、パヴェッタ役のGaia Mondadoriは2001年生まれの18歳なので、そのくらいを想定していると考えるのが妥当か。でもシリ役のFreya Allanも同じ2001年生まれだった。深く考えるのはやめよう)
この頃のシントラはキャランセ王女の全盛期で、ニルフガードからの求婚者を公衆の面前でバカにしてしまうほど。当時のニルフガードは政情が不安定で、国力もそこまでではなかったことがうかがえる。
そして招かれざる客、アーケオンが驚きの法に基づいてパヴェッタを要求しに現れる。
アーケオンは過去にキャランセの亡き夫ログネルを助けたことがあり、その報酬として「思いがけず授かっているもの」をもらう約束をしていた。
当時ログネルはキャランセが妊娠していることを知らなかったため、驚きの法の報酬はキャランセのお腹の中にいたパヴェッタだったのだ。
ゲラルトのほか、パヴェッタの婿候補の大本命だったスケリッジの面々すら「驚きの法は尊重せねば」ムードで、驚きの法の重みは原作以上のものになっているように見えた。
キャランセは政治的安定のためパヴェッタの婿にはスケリッジ出身のクラフ・アン・クライトを選ぶと決めていたので、無名で呪われたハリネズミ頭の男に娘は渡す気はさらさらなかった。
隙あらばアーケオンを殺そうとしたキャランセ女王の豪胆さは個人的にはグッジョブと称えたいが、後々シントラが攻め込まれることを始めキャランセに不幸がいくつか訪れることを考えると、この世界の運命の力はやはり大きいというのが分かる。
ただ、ニルフガードのシントラ侵攻が本当にキャランセが運命を軽視した結果なのかを証明する手段はない。それっぽい因果関係を運命と呼ぶのは簡単だ。
それでも驚きの法が連鎖するのは運命と呼ばずにはいられない。ゲラルトも驚きの法によって、パヴェッタのお腹の中にいる子をもらうことになったからだ。
ドラマ版のゲラルトはパヴェッタの妊娠に気づいておらず、命を救われたアーケオンがどうしても礼をしたいと言うので「じゃ、俺も驚きの法で」と冗談半分で答えて、意図せずパヴェッタの子をもらう約束をしてしまう。
これはこれでゲラルトの「俺、運命は信じないんで」感が露骨に表れていて良かった。
本エピソードによって、第1話でキャランセがシリにゲラルトを探すよう告げた理由が説明されたことになる。
シリの父親のことなど思うところは小説「A Question of Price」の感想にめいっぱい書いた。このエピソードだけは原作もゲームも知らずに見てみたかったなあと思う。
シリ:ブロキロンの森へ
シリとダーラが木の精の長エイスネのいる中心部まで連れて行かれる…なんてことはなく、なんとエイスネ自ら侵入者を出迎えている(エイスネという名前は4話では出ていない)。ドラマ版のブロキロンの森は原作に比べてゆるいのだろうか。
原作だとブロキロンの森はゲラルトとシリが初めて会う場所だったが、ドラマのブロキロンの森の役割は何なのだろう。シリの道しるべ?
>>シリとの出会い。ウィッチャー短編小説「The Sword of Destiny」感想
シリにブロキロンの水が効かなくて、見るからに怪しいさらに強力な水を飲ませるエイスネにちょっと笑ってしまった。
シリもそんなまずそうな水を飲むなよと思ったけど、故郷が焼かれて身内が死に、頼れるのがどこにいるのかも分からない顔も知らないおっさんなのだから、全てを忘れてラクになりたいと思うのも仕方ないかもしれない。
そしてニルフガード軍、シリがブロキロンの森にいることを(何かヤバそうな方法で)突き止めた。一団の中にはイェネファーと同期のフリンギラの姿も。
イェネファー:冷酷さと母性
王妃は容赦なく見捨てたのに、赤ちゃんだけは助けようとしたところにイェネファーの子供への未練を感じた。時間的には第3話から30年たったそうで。きっとこれでゲラルトの時間軸に追いついたのだろう。
ところで、ウィッチャーという作品は魔法使いもウィッチャーも年を取らないので、時間の経過は主にセリフで読み取ることになる。
原作でもキャラクターごとに時間軸の差をつけたり、ゲラルト目線で話が進んでいてもさりげなく回想が挟み込まれたりして、注意して読まないと時系列迷子になることがあった。
ドラマでも原作の手法を踏襲しているようだ。
時間軸トリックで仰天したのはドラマ『ウエストワールド』で、時間軸の見せ方で好きだったのは伊坂幸太郎さんの『砂漠』だったなと唐突に思い出した。
今回の好きなシーン
ゲラルトの入浴シーン…ではなく、キャランセにウィッチャーの数が減った理由を問われたゲラルトが「ケィア・モルヘンを襲撃され仲間を創れなくなったから」と答えるところ。好きなシーンというより気になるシーン。ケィア・モルヘンはウィッチャーの訓練所のような場所で、ウィッチャー候補の子供たちが修行したり変異を遂げたりしていた。
ドラマの時間軸では、第1話で名前だけ出たヴェセミルがおそらくケィア・モルヘンに唯一定住しているウィッチャーだと思われる。
ケィア・モルヘンが襲撃されたのはかなり昔のことなのか、実際に何が起きたのかはどこにも書かれていない。ドラマでもスピンオフでもゲームでも何でもいいので、いずれ詳細が明らかになることを期待。
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