過去エピソードで振り返るゲーム・オブ・スローンズ最終章6話感想②
ゲーム・オブ・スローンズの最終話「鉄の玉座(The Iron Throne)」のエピローグの感想を、過去のエピソードとの関連シーンを振り返りながら書いていく。
※この記事は「過去エピソードで振り返るゲーム・オブ・スローンズ最終章6話感想①」の続きです。
※シーズン8のネタバレを含みます
再びバラバラになるスターク家の子供たち
ジョンは血筋から解放される
デナーリスを殺した罪で壁送りになることが決まったジョン。グレイ・ワームとサンサたちの要望はどちらもとおらず、最も穏便に済む方法がとられたとティリオンが話す。「誰も満足しない=いい妥協案」という考え方は
アンサリードがウェスタロスから出て行くならジョンが解放されても構わないのでは、と最初は思ったが、鉄諸島とドーンがデナーリスに忠誠を誓っていたので、ジョンが野放しにされるとヤーラたちが黙っていないのかなと思うようになった。争いが起きないことを最優先で考えたブラン王は早速いい仕事をしたと言えるのかも。
ところで、デナーリスのために海を越えてキングスランディングまで戦いにきたドスラク人たちには、グレイ・ワームがちゃんと事の顛末を説明したのだろうか。
ジョンは黒の城でトアマンドとゴーストに再会し、シーズン8最大の笑顔でゴーストをなでた。
4話の感想でジョンがゴーストに冷たいことを批判したが、今となっては「文句は最後まで見てから言いたまえ」とほくそ笑む製作者の顔が浮かぶ。それだけジョンの壁エンドが予想外だったのですよ。
ジョンが4話でトアマンドに「南部にダイアウルフの居場所はない。北部にいるほうが幸せだ」と言ったとき、トアマンドは「お前にとってもな。お前には北部がついている。真の北部が」と返していた。
スタークにターガリエン。常に血筋に翻弄されていたジョンが、ようやく血筋から解放された。ターガリエンという出自がなかったことのようにされた結末は意外だったが、自由の地で新たな人生を歩むジョンのエンディングはけっこう好きだ。
アリアは念願のウェスタロスの西へ
ジョンとのお別れで「ニードルは持ってるか?」と聞かれたアリアが下を向いた瞬間に涙を落とすところ、見るたびに泣ける。ブレーヴォスにいたときからアリアはウェスタロスの西を見てみたいと言っていた(S6-08)。殺したい人のリストが真っ白になって、やっと次の目標に進めるようになったのだなとしみじみ思った。
「ウェスタロスの西には何があるか誰も知らない」って言ったアリアに、隣にいるブランが「ウェスタロスの西にはね」って言い出さないかとちょっと期待してた。
シーズン8に関してひとつだけ改善を求めるなら、日本語字幕のアリアの女言葉だ。ソフト化の際にはシーズン7までのようなニュートラルな言葉遣いに修正されるとうれしい。
サンサは北部の女王に
このエンディングを見て「サンサはすごい」と思った。だって家族はもう誰もそばにいないし、スタークになじみのある人もラムジーとかのせいでほとんど残ってないわけだよ。それなのに史上初の北部の女王として、たったひとりで国を背負う決意をしたサンサは本当にすごい。てっきりブライエニーだけでもそばに残るのかと思ったのに。
個人的な予想だけど、サンサは生涯独身を貫く気がする。結婚にいい思い出がないし、夫や子は弱みになると考えていそうだし、エリザベス1世のように「私は国家と結婚している」と言ってもおかしくない。となるとスターク家はサンサたちの代で途絶える可能性が高いが。
ゲーム・オブ・スローンズはスタークで始まりスタークで終わるドラマだったので、スターク家が全盛期を迎えたところで終了したのはある意味ハッピーエンドとも言える。
王様と愉快な小評議会のメンバーたち
ブラン王の小評議会は、スピンオフで1話30分のシットコムが作れるんじゃないかっていうくらい皆さん楽しそうでほっこりした。ゲーム・オブ・スローンズの感想で「ほっこり」という単語を使う日が来るなんて。ジェイミーの功績をしたためるブライエニー
ブライエニーがジェイミーの功績を書いていた書物は、歴代の王の楯の偉業が記された「兄弟の書」。ジョフリーがS4-01で「叔父さんのページ空白だらけじゃん。右手のない40歳じゃもうムリじゃん」とバカにしていたジェイミーのページを、ブライエニーが埋めていた。
なぜブライエニーがこの書物のことを知っていたかというと、S4-04でジェイミーから「ページを埋めるのが王の楯の総帥の役目」だと聞いていたからだ。この背景を覚えていると、このシーンの感動は8割増しになる。
本当にハイガーデンをもらったブロン
ティリオンの約束どおり、ブロンはハイガーデンを与えられ、しかも財務大臣にまでなっていた。報酬なのか、王に忠誠を誓わせるための買収なのか。どちらにせよ、GoTで一番のハッピーエンドを迎えたのはブロンな気がする。
文法大臣ダヴォス
ダヴォスがブロンの文法ミスを指摘して「文法大臣か」と揶揄されていたが、ドラマ登場時のダヴォスが文字を読めなかったことを考えると、他人の文法ミスを直せるまでになったのはすばらしい進歩だ。シリーンに読み方を教わり、スタニスがナイツウォッチの文法ミスを気にしているのを隣で聞き、スタニスのマネをしてジョンの文法ミスに突っ込み、着々と文法の知識を磨いていたダヴォス。シリーンがいなくなったあとも、いい年したおっさんが人知れず勉強を続けていたと思うと涙なしには見れない。
シタデルとうまくやってるサム
サムがティリオンに見せた「氷と炎の歌」は、サムがシタデルで師事していたアーチメイスター・イブローズが書いた書物だ。S7-02では「ロバート1世死後の戦記」という書名で登場し、もっと詩的な題名がいいのではとサムが提案して却下されていた。サムはシタデルから大量に書物を盗んでアーチメイスターに何も言わず逃げ出したのに、何事もなかったかのようにメイスターになれたんだね。
ティリオンの話の小ネタ
小評議会のシーンの最後で、ティリオンが娼館にロバと蜂の巣を持ち込んだという話をしていたが、実はこの話が出てくるのは3回目。1回目は谷間の裁判で罪の告白をしているときで(S1-06)、2回目はグレイワームとミッサンデイとおもしろい話を言い合っていたときだ(S6-08)。いずれもその結果どうなったのかは明かされていない。
感想まとめ
最終シーズンは展開が急すぎて残念だったところもあるが、結末は好きだし、何より無事に最終回を見られたことに満足している。企画されているスピンオフは続編ではないそうだが、ゲーム・オブ・スローンズの新たな物語を楽しみに待ちたいと思う。
>>ゲーム・オブ・スローンズ最終話感想。スキル・知性・物語の支配について
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