過去エピソードで振り返るゲーム・オブ・スローンズ最終章5話感想
ゲーム・オブ・スローンズのシーズン8第5話「鐘(The Bells)」の感想を、過去のエピソードとの関連シーンを振り返りながら書いていく。
あわせて海外のサイト・動画で知った情報などにも触れていきたい。
※シーズン8のネタバレを含みます
シーズン8第5話の簡単なあらすじ
- ジョンを王にしようと動いたヴァリスが反逆罪でデナーリスに処刑される
- デナーリスがドラゴンでユーロンの艦隊や城壁のスコーピオンを一掃する
- ジョンやグレイワームの軍がキングスランディングに突撃するが、降伏の鐘が鳴ったので攻撃をやめる
- デナーリスがドラゴンで街を攻撃し、グレイワームが無抵抗の兵を殺し、街は大惨事に
- レッドキープに着いたハウンドはアリアを逃がし、マウンテンと対決する
- ジェイミーはユーロンを撃退してサーセイと合流するも、がれきに出口をふさがれ生き埋めになる
- アリアは炎とがれきと灰に覆われるキングスランディングから脱出する
父親を超えたデナーリス
本エピソード最大の衝撃は何と言ってもゴールデンカンパニーの盛大な出落ちだった。サーセイに謁見して活躍を期待されたストリックランド船長は、まるっきり活躍することなく退場。存在が放送事故だったかのような扱いには驚きを隠せない。
本題。
デナーリスはキングスランディングを焼き尽くしたことで、狂王と呼ばれた父親エイリス・ターガリエンを超えた。
狂王は何をしたかというと、ジェイミーはこう語っていた(S3-05)。
- 言うことを聞かない者をワイルドファイア(鬼火)で焼いていた
- キングスランディング中にワイルドファイアの貯蔵所を作らせた
- ロバートに玉座を奪われそうになると、街も人もすべて焼き尽くそうとした
ジェイミーが狂王を殺したことでワイルドファイアによる民衆への被害はなかったが、今回デナーリスはドラゴンの炎で街を破壊し、敵も味方も構わず焼いた。悪い意味で父親が成し得なかったことを遂げたのだ。
ジョラーを失い、我が子を失い、ミッサンデイを失い、助けてあげた北部には歓迎されず、愛するジョンに裏切られ、目指していた玉座も危うくなった。もろもろ積み重なっての行動だったのだろう。
ファンタジーの世界で起きたことはしょせん虚構。街が吹っ飛んでもサラッと流してしまいそうになる。
だが、建物が崩れ、人間が黒コゲになり、街中灰だらけになったキングスランディングは、原爆資料館や『この世界の片隅に』で見た広島の光景と似ている。デナーリスがやったことは原爆投下に等しい。
さすがのデナーリスもタダでは済まない予感がするし、もはや何事もなく終わるなんて許されない状態になっている。
これまでデナーリスが女王だと信じて尽くしてきたティリオンやジョンは、無実の民を圧倒的武力で虐殺したデナーリスに、最終話でどのように接するのだろうか。
人間関係の総決算と伏線回収が目立った
ヴァリスとティリオン
「もし私を裏切ったら生きたまま焼き殺す」とデナーリスが言っていたとおり(S7-02)、反逆罪でドラカリスとなったヴァリス。処刑直前にティリオンがヴァリスにそっと手を触れたのを見て、そういえばヴァリスはティリオンの命の恩人だったなと思い出した。ヴァリスはジョフリー殺害の罪で死刑になるところだったティリオンを助けている(S4-10)。
強者が弱者を虐げない世界。ヴァリスの望みはティリオンに託されたが、今回のデナーリスの行動を見ると、残念ながら望みは叶わなかったように見える。
ジェイミーとティリオン
サーセイのもとに向かったはずが、いつの間にか捕まっていたジェイミー。前も脱走して翌朝また捕まるという失態を演じているが、そのときもサーセイのところに帰るためだった(S2-07)。そんなジェイミーもヴァリスと同じくティリオンの命の恩人だし、ジェイミーの場合はそれだけではない。
ティリオンはジェイミーに感謝してもしきれないはずで、それは自分を怪物扱いしなかっただけではなく、常にサーセイやタイウィンから守ってくれたからだ。
ジェイミーはサーセイの言うことは基本的に何でも聞いているが、ティリオンを殺してという頼みだけは聞かなかった。また、ティリオンがジョフリー殺害の容疑で裁判にかけられていたときは、タイウィンに処刑だけはしないよう頼み込んでいた。
ほかにも、生まれて間もないティリオンをサーセイが虐げていて、それをジェイミーがやめさせていた、というのがオベリンの思い出話(S4-07)からうかがえる。
シリーズを見返しているとよく分かるのだけど、ジェイミーはティリオンにいつでもやさしかった。もうふたりは二度と会えないのが悲しい。
ブランのビジョンが現実に
ブランは三つ目の鴉を探す旅の道中で、キングスランディングの上空を1頭のドラゴンが飛んでいるビジョンを見ている(S4-02)。このとき、雪が舞い散る鉄の玉座も一瞬だけ出てくる。デナーリスが見たものと同じだ(S2-10)。雪と信じて疑わなかったけど、この雪は灰だ、という意見を見たら灰にしか見えなくなった。
クレゲインVSクレゲイン
今までサーセイの言うことを忠実に守ってきたマウンテン。弟ハウンドが現れた途端、サーセイとクァイバーンの命令を聞かなくなり、邪魔するクァイバーンの首をつかんでポイッ。
自分が改造したマウンテンを制御できなくなって殺されたクァイバーン。これ既視感がある…あれか? 人造人間17号にやられたドクター・ゲロか(フランケンシュタインです)。
で、ハウンドとマウンテンがS1-05以来初めて剣を交える。
ヘルメットの下はダースベイダーに見えなくもないマウンテンは、剣が刺さっても全然平気で、もはや夜の王よりヤバい化け物である。
兄貴のせいで火がトラウマになったハウンドが、その兄貴を道連れにして火の海に飛び込んだ瞬間、私の中の東京ドームで歓声が起きた。
サーセイとジェイミー
アリアのリストに載っている、緑の目をしている、とアリアに殺されるフラグが立っていたサーセイは、ジェイミーとがれきに生き埋めという最期を迎えた。抱き合う男女が爆発に飲まれていくのを見て頭をよぎったのはローグワン。製作者がインタビューで「サーセイとジェイミーは一緒にこの世に生まれたから、この世を去るときも一緒だ」と話していた。
「私たちはずっと一緒だった。これからもずっと一緒よ。この世界にいるのは私たち2人だけ」というサーセイの言葉(S6-06)。「(理想の死に方は)愛する人の腕の中で」というジェイミーの言葉(S5-04)。見事にこのとおりになった。
正直「ふたりは一緒」に固執しすぎて、サーセイにはきれいすぎる結末だったと思う。サーセイはベイラー大聖堂をドカンさせた張本人。あのときの邪悪なほほえみといったらない。ネッドを陥れたのもサーセイ。だからアリアのリストに入っていたし、サンサも処刑を期待していた。
でも期待どおりにならないのがゲーム・オブ・スローンズらしいと言えばそう。
シーズン1の第1話から活躍していたサーセイとジェイミーが死んで、本当に最終回が近いんだなと実感した。
アリアの次なる目的は?
アリアがハウンドを「サンダー」と呼んだときは涙がナイアガラの滝になるかと思った。で、レッドキープから出て逃げるアリアはチートスキル「普通なら死ぬ場面で死なない」を発動。腹を何度も刺されたのに死ななかったことがあるし(S6-08)、アリアにはプロットの神様がついている。
製作者インタビューによると、逃げるアリアは市民の視点を見せるために描かれたそう。
惨状を目の当たりにしたアリア。サーセイとマウンテンが死んで真っ白になったリストに、デナーリスの名前が書き込まれたのではないかと予想してみる。
ところで、アリアが助けた子供が白い馬の人形を持っていたんですって。細かい。
The little girl #Arya tried to save was holding a white horse#GameofThrones pic.twitter.com/rW7mPdFrqe— Game of Thrones Facts (@thronesfacts) 2019年5月13日
感想まとめ
ジョンは第4話での弔いのスピーチ以外、「My queen」「玉座に興味ナス」くらいしかしゃべっていないので、最終回ではバッチリ決めてほしい。GoT最終章の関連記事:
1話>>過去エピソードで振り返るゲーム・オブ・スローンズ最終章1話感想
5話>>過去エピソードで振り返るゲーム・オブ・スローンズ最終章5話感想 ※本記事