【ラストオブアス2】クリア後感想。ストーリーの残念だったところ(アビー編)
PS4のゲーム「The Last of Us Part II(ラストオブアス2)」をクリアしたので、感想をまとめました。
※ストーリーのネタバレあり
本記事はアビーの話についてが中心となっています。
エリー編と違って何かと残念に感じる要素が多かった印象です。
動機は個人的な恨みだけ
アビーがジョエルを殺したのは、きっと前作の病院での出来事が関係しているのだろう。
と、ジョエル殺害シーンを見ながら思った。
これはワクチン開発を阻止して人類の希望を奪ったジョエルへの報復ではないか。
アビーたちは感染者の治療のために新たな活動をしている組織なのではないか。
そんなふうに期待を膨らませていた。
しかし実際のところ、アビーのジョエル殺害の動機は父親を殺された恨みだけ。
アビーの父親はエリーの手術の執刀医だったとかワクチンを開発できる唯一の人物だったとか、そんな背景があるならもっと壮大な目的があるのだろうと勝手に想像していたら違った。
もはや謎のウイルスをどうこうする話が一切ないのは想定外だった。
(2020/07/08追記:このあたりの考えは2周目をやって変わりました。特にジョエルが殺したのがアビーの父親で、かつワクチン開発者という設定は重要だと思い直しました。詳細はエリー編の感想で)
3日間のストーリーは長かった
ラスアス2はエリーの物語で、一部例外はあるにせよずっとエリーを操作するものだと思っていた。
しかし、フタを開けてみたらゲームの半分近くがアビー編。
ただでさえジョエルを拷問して殺した人物というネガティブな印象からのスタートなのに、エリーがアビーを追っていたのと同じ時間をアビーでもプレイしないといけないのはつらい。
あえてアビー側も体験させるというのが制作者側の狙いなのは分かるが、3日間のストーリーは長かった。
もちろんアビー編の良い点もある。
アビーがなぜジョエルを恨んでいるのか分かった。
エリーが殺したアビーの仲間たちが掘り下げられて物語に厚みが出た。
ジョエルとエリーは被害者でもあり加害者でもある、ということを突きつけられた(むしろジョエルとエリーの加害者度はアビーより遥かに高い)。
しかし、アビー編のストーリーは「それ必要?」と感じることが多かったのも事実。
まず、わざわざオーウェンのところまで行くところから理解に苦しむ。
回想シーンのおかげで、アビーとオーウェンは親密な間柄だということは承知した。
でもオーウェンはメルと一緒になったんでしょ?
妊娠中のパートナーがいるオーウェンの様子を見に行くとは余計なお世話にもほどがある(オーウェンもひどいが)。
なんでそんなことするの? と周りから思われることをしちゃうのが人間らしさではあるけど、プレーヤーとしては一体何のために1日目の任務でメルと打ち解けたのかという気分にはなる。
(余談。日本版でカットされたアビーとオーウェンのラブシーンはYouTubeで「the last of us 2 romance」あたりで検索すると出てくるのだけど、動画のコメント欄に「いらんわ」という酷評が多くて笑った)
そして会ったばかりのヤーラとレブを、危険な目に遭いながら助けるのもよく分からない。
様子を見に戻るところまでは百歩譲るとして、手術セットを取りにわざわざ病院まで行くほどなのか?
いかんせん病院へ行く時に橋から6回くらい転落死したので…余計に「なぜそこまでして助ける?」と疑問を感じてしまった(プレーヤーの腕の問題)。
アビーはヤーラとレブを「まだ子供なんだよ」とかばうことが多かった。
せめてアビーが子供を助けてあげたいと強く思うきっかけになったエピソードでもあれば印象は違ったかもしれない。
病院に着いた後はWLFから反逆者扱いされるし(アビーは命令違反したので当然なのだが)、救急病棟では感染者で塊魂でもやったのかと錯覚するような年代物感染者に襲われるし、ヤーラの手術後はWLFとスカーが絶賛抗争中の島に乗り込むし、苦労して手術セットを取ってきて手術したヤーラは死ぬし。
アビー編を遊んでいて「アビーは一体何をしているのか」という気持ちが絶えず、3日ぶんのストーリーが長く感じた。
ジョエルとエリーの二番煎じ
アビーについて知るだけなら回想シーンだけあれば十分だった。
あえてアビーの3日間を用意した最大の要因は、レブを登場させるためなのだと思う。
しばらくレブの存在意義が分からなかったのだが、レブのおかげでエリーとディーナはアビーに殺されずに済んだのを見て、ようやくレブの重要性が分かった。
アビーにとってオーウェンの復讐は大事だが、レブにとってオーウェンは出会って数時間の他人でしかない。
オーウェンに直接手を下したエリーはともかく、アビーがディーナまで殺すことにレブは抵抗があったのだろう。
レブはジョエルのことを知らないので、アビーの個人的な恨みを全く知らない第三者という立場だったのも大きい。
そしてレブの最も重要な役割に、アビーにもジョエルとエリーのような要素を作ったというのが挙げられる。
家族や友人を失った身寄りのない他人どうし、それも大人と子供の組み合わせが、最初は衝突しながらも死線を共に乗り越えるうちに絆を深め大切な存在になっていく。
アビーとレブは、ジョエルとエリーの投影だと言える。
アビーは父親を殺されたという点でエリーの立場であると同時に、守るべき存在を得たという点ではジョエルの立場でもある。
この構図はおもしろいと思う。
ただ、ジョエルとエリーはラストオブアス1作目を丸々費やして丁寧に構築された関係であるのに対し、プレーヤーにとってアビーとレブは3日間プラスアルファの関係に過ぎないので、ちょっと二番煎じ感がある。
やっぱりエリーは強かった
アビー編のラスボスはエリーだった。
アビーが劇場に着いたらエリー操作に切り替わるのかと思いきや、そのままアビーでエリーをぶちのめす展開に。
エリーがアビーの大事なオーウェンの仇なのは理解しているが、前作からエリーを見守ってエリーに思い入れがある身としては、エリーを自分の手で痛めつけねばならないことに複雑な心境。
しかし、数々の死線をくぐり抜けたエリーはそのへんのザコとは比べものにならない強敵だった。
何度エリーに刺され、撃たれ、爆薬で吹っ飛ばされたことか(難易度ノーマル)。
最初はエリーを傷つけるなんてと心苦しく思っていたのに、エリーにボコボコにされるうちに「ぜったい叩きのめす!」と気が変わるのだから不思議。
劇場の決闘はエリーを敵に回すといかに恐ろしいかということを身をもって味わえる貴重な機会だった。
まあ、凶悪さではエリーよりトミーのほうが上だと思うけど。あのスナイパーの強さにはびっくりした。
トミーを生かしてしまったのがアビーたちの運の尽きだった気がしないでもない。
まとめ
ゲームの半分近くを占めるアビー編。
エリーと違っていろいろな点が突貫工事な印象が否めず、ほとんど共感することがないまま終わりました。
エリー編はけっこう好きなのでラスアス2がつまらないということは全然ないのですが、アビー編を繰り返し遊びたいと思えないのはゲームとしては厳しいものがあります。
と言いながらトロコンのために2周目はやるんですが。
その後、2周目をやった上でのエリー編の感想はこちら。
アビーの父親のことやノラ拷問シーンは2周目で印象が変わりました。